この記事でわかること3点まとめ
- 理学療法は、病気やケガ、加齢などで身体機能の低下がみられる方を対象におこなうリハビリ
- 理学療法は、主に「運動療法」「物理療法」の2つの方法でおこなう
- 理学療法は、医療機関をはじめ老人保健施設や訪問リハビリテーションでおこなう
理学療法とは、身体機能が低下した方を対象に運動療法や物理療法を実施し、対象者の動作能力の回復や維持などを図る治療法です。
理学療法の国家資格を有する理学療法士(PT)が中心となってリハビリテーションをおこない、障害を持つ方の生活の質(QOL)の向上を目指します。
本記事では、理学療法の主な目的や方法、対象者に関する基礎知識を詳しく解説します。理学療法について知りたい方や理学療法士を目指したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
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理学療法とは?

理学療法とは、病気やケガ、加齢などにより障害を持ち、身体機能の低下がみられる方を対象におこなうリハビリテーションの一つです。主に、立ったり歩いたりなどの基本的な動作能力の回復や維持・向上を目指します。
英語では「Physical Therapy(フィジカルセラピー)」と表記され、理学療法に関する専門的知識が豊富な理学療法士(PT)が、医師の指示のもと動作訓練をおこないます。
参照:理学療法とは|公益社団法人日本理学療法士協会
参照:理学療法士(PT)|職業情報提供サイトjobtag|厚生労働省
理学療法の主な目的
理学療法の主な目的は、身体機能の回復です。病気やケガによって低下した身体機能に対してさまざまな訓練を実施し、日常生活で必要な座る・歩くなどの動作を改善していきます。
また、日常生活動作(ADL)の改善を通じて、対象者の社会復帰を支援することも理学療法の目的の一つです。
さらに、家族や地域支援者に対して介助方法を伝え、対象者が地域や社会とつながるためのサポートをおこない、最終的には対象者の生活の質(QOL)の向上を目指します。
理学療法の方法|主な2つの種類

理学療法は、大きく分けて運動療法と物理療法の2つに分類されます。どちらも身体機能の回復を目指しますが、それぞれでアプローチ方法や目的が異なり、患者の症状や状態に応じた使い分けが重要です。
ここでは、理学療法の主な種類である運動療法と物理療法について、それぞれの特徴を詳しく紹介します。
運動療法
運動療法は、身体を動かしながら機能の回復や維持、向上を図るリハビリテーションの一つです。患者の状態や目的に合わせて、さまざまな練習が実施されます。
主な運動療法の種類や特徴、練習内容は次のとおりです。
練習の種類 | 特徴 | 練習内容 |
---|---|---|
基本動作練習 | 日常生活を送るうえで必要な基本的動作をスムーズにおこなえるようにする訓練 | ・立ち上がる・座るなどの動作訓練 ・車いすへの乗り降り ・歩行訓練など |
関節可動域練習 | 関節の動きを改善し、固まってしまうのを防ぐ訓練 | ・腕や脚など各関節を動かすトレーニング |
筋力・持久力増強練習 | 筋力を増やし体力の低下を改善するための訓練 | ・筋力トレーニング |
協調・バランス運動訓練 | 脳や神経の病気やケガにより、動作のバランスがとりにくい、スムーズに動かせない場合に効果的な訓練 | ・物をつまむ、持ち上げる、身体の一部を触る動作 ・平行棒を使ったバランス運動など |
治療体操 | 病気やケガの治療後に社会復帰を促すための体操 | ・パーキンソン病の運動不足を解消するための体操 ・腰痛を和らげる体操 ・肩の動きをよくする五十肩体操など |
呼吸練習 | 呼吸器疾患の進行を遅らせたり、病状の維持・回復につなげたりするための訓練 | ・腹式呼吸 ・横隔膜を使った呼吸 ・胸郭を広げる運動 ・腹筋の強化など |
身体を動かすことで筋力や関節の柔軟性、持久力、バランス能力などを高める効果が期待できます。
物理療法
物理療法とは、電気や熱、水などの物理的刺激を利用して、身体の痛みや炎症を和らげたり、傷の治りを早めたりすることで身体機能の回復を目指す治療法です。
物理療法に分類される主な治療法とそれぞれの特徴は、以下のとおりです。
主な物理療法 | 特徴 |
---|---|
温熱療法・光線療法・極超短波療法 | 患部を温め血行を促し、筋肉の疲れや凝りを和らげて痛みの緩和を図る |
寒冷療法 | 痛みの緩和や、リラックス効果が期待できる |
水治療法 | 温かい水や冷たい水を使って、患部の血流改善や痛みの緩和などを図る |
電気刺激療法 | 筋肉に電気で刺激を与え、痛みを緩和するとともに、筋力の増強や衰えを防ぐ |
超音波療法 | 超音波の温熱効果で組織をやわらかくし、また機械的効果で炎症の治癒を早める |
陰圧閉鎖療法・高圧酸素療法 | 適切な圧力をかけることで傷の治りを助けたり、身体の回復を促したりする |
牽引療法 | 腰など、痛みの原因となる関節を引っ張り、負担を軽減して痛みを和らげる |
物理療法は、運動療法と組み合わせて実施されることもよくあります。
どの物理療法を取り入れるかは、医師と理学療法士が患者の状態を詳しく確認し、必要に応じて治療を続けたり、内容を変更したりしながら進めていきます。
参照:理学療法士(PT)|職業情報提供サイトjobtag|厚生労働省
【発症時期別】理学療法の内容

理学療法では、病気やケガの発症時期や段階に合わせた適切なアプローチが大切です。
ここでは、主に急性期・回復期・維持期(生活期)に分けて、それぞれどのような理学療法がおこなわれるのかを紹介します。
急性期
急性期とは発症直後から数日〜1ヵ月の早期段階を指し、急性期の理学療法は主に病院の集中治療室(ICU)や一般病棟で実施されます。
急性期の理学療法の主な目的は、廃用症候群(安静や活動量低下によって起こる心身機能の低下)の予防や早期の離床、呼吸や循環の安定を図る訓練を中心とし、主に以下のような訓練を取り入れます。
- ベッド上での体位変換や運動
- 関節を動かす訓練
- 呼吸訓練
発症から早い段階のうちに理学療法を取り入れることで、後遺症の軽減や寝たきりの防止、運動機能の早期回復を促す効果が期待できます。
回復期
回復期は、急性期を乗り越えて容体が安定し、本格的に身体機能の回復を目指す時期です。回復期の理学療法は、主にリハビリテーション専門の病院や病棟で実施されます。
回復期の理学療法では歩行訓練や日常生活動作(ADL)の改善など、生活に直結する動作を中心とし、主に以下のような訓練を取り入れます。
- トイレに行く
- お風呂に入る
- 着替えをする
- 部屋を掃除する
- 食事の準備をする
回復期は、患者の「自分でできること」を少しずつ増やすための重要な時期です。
維持期(生活期)
退院後も回復期のリハビリテーションを継続し、回復状態を維持するための時期を維持期(生活期)といいます。維持期は、主に病院を出て自宅や介護施設などで過ごすのが一般的です。
維持期の理学療法は、病気やケガの再発、身体機能の低下を防ぐことが目的となります。また、介護予防や生活の質向上・維持に重点が置かれます。
具体的には、訪問リハビリテーションや通所リハビリテーション(デイケア)などで身体機能を保ちつつ、安全に日常生活を送れるよう支援するのが特徴です。
理学療法の対象者の例

理学療法は、病気やケガ、加齢などの原因を問わず身体の運動機能が低下した方を対象とします。主な対象者の例は、以下のとおりです。
- 脳卒中(脳梗塞・脳出血など)後の麻痺や歩行障害がある方
- 骨折(大腿骨・脊椎・腕など)の手術後で運動機能の回復が必要な方
- パーキンソン病などの神経筋疾患による動作困難がある方
- 呼吸器疾患(COPDなど)で呼吸機能の改善を必要とする方
- 心疾患(心筋梗塞・心不全など)で心臓リハビリテーションが必要な方
- スポーツ外傷(靭帯損傷・肉離れなど)からの競技復帰を目指すスポーツ選手
- 小児麻痺や発達障害があり運動機能の発達支援が必要な子ども
また、近年は障害の有無に関わらず、運動機能の低下が想定される方の予防対策・スポーツをする方のパフォーマンス向上として理学療法が実施されています。
参照:理学療法とは|公益社団法人日本理学療法士協会
参照:理学療法士(PT)|職業情報提供サイトjobtag|厚生労働省
理学療法をおこなう主な施設・サービス

理学療法は、医療機関や介護老人保健施設などで実施されており、それぞれの施設で対象者が異なるため、サービス内容にも違いが見られるのが特徴です。
ここでは、理学療法をおこなう主な施設とサービス内容を紹介します。
医療機関
病院やクリニックなどの医療機関では、病気やケガの発症直後の急性期から病状が安定した回復期まで、幅広い段階の患者を対象に理学療法をおこないます。入院・外来どちらの患者もリハビリテーションの対象です。
医療機関で理学療法を実施する際は、まず医師が理学療法が必要と判断し、内容を指示します。そのあとに理学療法士が患者の身体の動きや筋力を詳しく確認・評価します。
他診療の情報も考慮しながら目標の設定や手順の検討を重ねてプログラムを作成し、身体の機能回復と再発予防を目指します。
参照:理学療法とは|公益社団法人日本理学療法士協会
参照:理学療法士(PT)|職業情報提供サイトjobtag|厚生労働省
老人保健施設
老人保健施設では、要介護認定を受けた高齢者を対象に在宅に復帰して自立した生活を送れるように、必要な理学療法をおこないます。
老人保健施設で実施する主な理学療法は、以下のような日常生活に密着した訓練です。
- ベッドから起き上がる練習
- ベッドから車いすに移動する練習
- 部屋からトイレまで歩く練習
また、必要に応じて在宅復帰に必要な福祉用具の選定や家具配置・住宅改修のアドバイス、さらに同居家族への介助方法の助言などもおこないます。
訪問リハビリテーション
訪問リハビリテーションは、理学療法士が利用者の自宅を訪問して動作訓練をするサービスです。要介護認定を受けた高齢者や障害者の方などを対象にケアをおこない、住み慣れた環境のなかで日常生活に必要な身体機能の訓練や維持・改善を目指します。
訪問リハビリテーションでおこなう理学療法は、主に以下のとおりです。
- 歩行訓練
- 筋力トレーニング
- 立つ・起き上がるなどの運動療法
訪問リハビリテーションを実施する際は、利用者の現在の生活レベルに合わせて理学療法を実施します。
理学療法と作業療法・言語聴覚療法の違い
リハビリテーションには理学療法だけでなく、作業療法や言語聴覚療法もあります。ここでは、理学療法と作業療法・言語聴覚療法の違いを解説します。
作業療法との違い
理学療法と作業療法の主な違いは、以下のとおりです。
理学療法 | 作業療法 | |
---|---|---|
対象者 | 身体に障害を持つ方 | 身体または精神に障害を持つ方 |
主な支援内容 | 基本的な動作能力の回復 | 応用的な動作能力や 社会への適応能力の回復 |
理学療法は、主に「歩く・立つ・座る」などの身体機能の回復を目的としています。
対して作業療法は「食事をする・トイレに行く・着替える」などの日常生活に必要な動作や、「学校に行く・仕事をする」など地域社会で役割を果たすための能力回復を支援します。作業療法は、対象者の精神的なサポートに関わるのも特徴です。
参照:作業療法と理学療法のちがいってな~に?|一般社団法人日本作業療法士協会
言語聴覚療法との違い
理学療法と言語聴覚療法の主な違いは、以下の表のとおりです。
理学療法 | 言語聴覚療法 | |
---|---|---|
対象者 | 身体に障害を持つ方 | 言語や聴覚、嚥下機能に障害を持つ方 |
主な支援内容 | 基本的な動作能力の回復 | コミュニケーションや食事の動作能力の回復 |
言語聴覚療法は、病気や事故による脳の損傷や発達障害、加齢などによる「話す・聞く・食べる」といった機能低下を改善するための治療法です。
具体的には、話す練習や文字を読み書きする練習、安全に食事をするための飲み込みの訓練などを繰り返しおこない、生活の質を高めるために支援します。
参照:言語聴覚士|職業情報提供サイトjobtag|厚生労働省
理学療法士になるには?

理学療法士になるためには、国家資格の取得が必須です。理学療法士の国家資格を取得するには、理学療法士養成課程のある学校で3年以上学び、理学療法士国家試験への受験資格を得る必要があります。
理学療法士養成校には大学や短大、専門学校などがあり、理学療法士に必要な専門知識や技能を身に付けます。
国家試験合格後は、理学療法士として病院や老人保健施設などで勤務が可能です。
理学療法士の資格を検討している方は、理学療法士を目指せる学校や求められるスキルなどを解説した以下の記事をご覧ください。
理学療法士になるには?目指せる学校の種類と求められるスキル- 専門学校 医校・医専
まとめ
理学療法は、病気やケガ、加齢などにより障害を持ち、身体機能の低下がみられる方を対象におこなうリハビリテーションの一つです。運動療法や物理療法を用いて、対象者の発症時期や段階に合わせながら身体機能の回復・維持・向上を目指します。
理学療法の専門知識が豊富な理学療法士は、それぞれの患者に合った運動療法や物理療法を実施する大切な役割を担います。
高齢化が進む日本において、一人ひとりに合わせたリハビリテーションで生活の質(QOL)を向上させる理学療法士の需要は、今後ますます高まるでしょう。
理学療法士を目指したい方は、充実した授業内容を展開する養成校で知識と技術を身につけることをおすすめします。
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