医校・医専の医療コラム / 東洋医療 / 【鍼灸師の夢を叶える】開業に必要な全知識:資金調達から法的手続き、成功戦略まで徹底解説

【鍼灸師の夢を叶える】開業に必要な全知識:資金調達から法的手続き、成功戦略まで徹底解説

鍼灸師として開業するためには、資格取得や資金計画、法律手続き、広告規制などの理解が欠かせません。

本記事では、鍼灸師(はり師・きゅう師)の開業に必要な知識を徹底解説します。資金調達から法的手続き、成功戦略まで詳しく紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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鍼灸師開業へのスタートライン

鍼施術

鍼灸師として開業するための、最低限の条件を紹介します。

必須資格

鍼灸師として開業するためには、国家資格の取得が必須です。鍼灸師とは、はり師ときゅう師の総称であり、片方の資格のみでも開業は可能なものの、実際には両方の資格を取得している場合がほとんどです。

鍼灸師(はり師・きゅう師)になるためには、3年以上の養成課程を修了し、国家試験に合格する必要があります。はり師ときゅう師は同時受験が可能なため、最短3年で資格取得を目指せます。

関連記事:鍼灸師の資格を取得するには?取得方法や鍼灸師の将来性を解説

「保険が使える施術」のための実務経験ルール

国家資格を取得するだけでは、保険適用の施術をおこなえません。保険施術をおこなうためには、施術管理者になる必要があります。

施術管理者とは、療養費の受領委任に関する手続きを管理する者です。要件は、1年以上の実務経験と指定研修の修了です。

雇用形態に制限はありませんが、届出済みの施術所で1年以上の実務経験が必要です。

参考:厚生労働省保険局長 | はり師、きゅう師及びあん摩マッサージ指圧師の施術に係る療養費の受領委任を取り扱う施術管理者の要件について

開業までの主なステップ

電卓とノート

鍼灸師として開業するまでの主な6つのステップを紹介します。

資格取得

鍼灸師として開業するためには、厚生労働省もしくは文部科学省が指定する養成機関(専門学校や大学)で3年以上学び、国家資格(はり師・きゅう師)を取得する必要があります。

資金計画

鍼灸師として開業するためには、資金計画を立てることも重要です。開業資金の主な内訳は以下のとおりです。

  • 初期投資:物件取得費、内装費、設備費など
  • 運転資金:家賃、消耗品費など

開業資金をすべて自己資金で賄うのが難しい場合は、日本政策金融公庫の新規開業資金や、各自治体の制度融資、民間金融機関の創業融資などを検討しましょう。

物件・立地選定

開業資金の目途が立ったら、ターゲットとする患者層に合わせて物件や立地を選定します。

なお、自宅で開業する場合でも、専用の施術室や待合室、換気・消毒設備などの構造基準を満たす必要があります。専用室に必要な広さは、施術室が6.6平方メートル以上、待合室が3.3平方メートル以上です。

参考:e-Gov法令検索 | あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律施行規則

行政手続き

鍼灸師として開業する際には、関係機関への届出が必要です。具体的には、以下の手続きが必要となります。

  • 保健所:業務開始から10日以内に「施術所開設届」を提出する
  • 税務署:開業1ヵ月以内に「個人事業の開業・廃業届出書」を提出する

保健所の手続き時には、事前の立ち会いチェックがおこなわれるのが一般的です。なお、保険適用の施術を提供する場合は、地方厚生局に「受領委任の届出」をおこなう必要もあります。

参考:e-Gov法令検索 | あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律
参考:国税庁 | A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続
参考:厚生労働省 | はり師、きゅう師及びあん摩マッサージ指圧師の施術に係る療養費に関する受領委任を取り扱う保険者等について

設備・備品の準備

開業時には、施術に必要な鍼や灸、ベッドなどの設備の準備も必要です。カーテンやパーテーション、施術用のタオル、待合スペース用の椅子など、細かな備品にまで気を配りましょう。

集客準備

開業と並行して、集客準備をおこなうことも重要です。ホームページ作成やチラシ、Googleマップへの掲載など、継続的にPRを積極的におこないましょう。

開業資金の計算方法と調達のヒント

鍼灸

開業資金の計算方法と調達のヒントを紹介します。

開業費用の具体的な内訳をシミュレーション

開業にかかる費用の具体的な内訳は以下のとおりです。

  • 物件取得費用(敷金・礼金など)
  • 内装・改装費
  • 施術機器・備品費(ベッド・鍼など)
  • 広告宣伝費など

上記のなかで多くを占めやすいのが、内装・改装費です。内装・改装費を含めて、300万円以上の費用がかかるケースも少なくありません。

経営を安定させる「運転資金」とは?

鍼灸師として開業する際は、初期投資だけでなく、経営が軌道に乗るまでの間の運転資金も考慮しなければいけません。特に、開業後に家賃や人件費が発生する場合は、最低でも3~6ヵ月分の運転資金を手元に確保しておくことが推奨されています。

資金調達方法

開業資金の主な調達方法は以下のとおりです。

  • 国や自治体からの融資
  • 返済不要の補助金、助成金

これらの制度を活用することで、自己資金だけに頼らずに開業準備を進められ、開業後の返済負担を軽減しやすくなります。補助金や助成金の内容は地域ごとに異なるため、事前に確認しておくことが大切です。

法律を学ぶ!施術所開設と広告の厳格なルール

計算をしている女性

施術所開設と広告の厳格なルールを解説します。

施術所を開くなら必須の「構造設備基準」

鍼灸院を開業する際には、構造設備基準を理解しておかなければいけません。構造設備基準とは、法律上定められている、施術所を運営するうえで遵守すべき一連の要件です。

具体的な内容は以下のとおりです。

施術室の基準・最低面積:6.6平方メートル以上
・換気:室面積の7分の1以上を外気に開放できる、または適切な換気装置を設置すること
待合室の基準最低面積:3.3平方メートル以上
衛生面の基準・常に清潔に保つこと
・採光、照明、換気を十分におこなうこと
・施術に使用する器具および手指の消毒設備を備えること

開設前の最重要ステップ:保健所への事前相談

開業を検討する際は、物件の契約前や内装図面の作成段階で、管轄の保健所に事前相談に行くことが重要です。事前に物件や内装を確認してもらうことで、のちの申請不認可リスクを避けられます。

病院と間違われる「クリニック」や「科」はNG!

鍼灸師の名称には、病院や診療所と誤認される可能性がある「〇〇クリニック」「〇〇治療所」「はり科・きゅう科」といった名称をつけることはできません。

「うえの鍼灸」「うめだ鍼灸院」など、鍼灸に関する施術所であることが明確に伝わる、適切な名称を使用することが重要です。

広告規制(あはき法)の範囲と守るべき表示

鍼灸院には、あはき法(あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律)によって厳密な広告規制が設けられています。

具体的には、施術者の技能や経歴、料金、効果・効能、各種保険取り扱いといった表現は使用できません。「〇〇が完全に治ります」「〇〇での修行経験あり」「痛くない治療」などの表現を使用するのは厳禁です。

参照:厚生労働省医政局医事課|あはき・柔整広告ガイドラインの概要

鍼灸院開業に失敗しないための「ビジネス力」と「戦略」

鍼灸施術中の女性

鍼灸院開業に失敗しないためのビジネス力と戦略を紹介します。

技術だけでは勝てない!サービス業としての意識

鍼灸師は専門的な技術職ですが、開業後に選ばれ続けるためにはサービス業としての視点が不可欠です。清潔感のある空間づくりや丁寧な接客、顧客ニーズに合った治療プランの提供など、患者目線での細やかな配慮がリピーター獲得につながります。

ターゲットを決める「顧客分析」と「立地」の重要性

鍼灸院を開業する際は、どのような層に向けた院にするのかを明確にし、それに合った立地やサービス内容を検討することが重要です。

  • 誰に届けたいのか(ターゲット顧客層)
  • どのような悩みを解決するのか(提供価値)
  • どのような雰囲気で施術するのか(空間・接遇)

あわせて、競合の数や周辺環境、アクセスのしやすさなども事前に調べ、需要の見込めるエリアかどうかを確認しておくことが大切です。

競争に打ち勝つ「差別化」のアイデア

鍼灸院は数も多いため、他院との差別化を意識することが大切です。例えば美容鍼に特化する、スポーツに関わる利用者を想定するなど、方向性を明確にすることで、自院の立ち位置がはっきりしてきます。

鍼灸師の開業に関するよくある質問

Q&A

鍼灸師の開業に関するよくある質問にお答えします。

鍼灸院を開業するために必要な資格は何ですか?

鍼灸院を開業するためには、はり師やきゅう師といった国家資格の取得が必須です。片方の資格でも開業できますが、幅広い症状に対応できるよう、両方の国家資格を取得することが推奨されています。

開業に実務経験は必要ですか?

法律上、開業すること自体に実務経験の有無は定められていません。ただし、臨床経験を積んでおくことは、患者対応や施術の判断において大きな助けになります。

自宅の一部を開業場所として利用できますか?

自宅の一部を施術所として使用し、鍼灸院を開業することは可能です。ただし、自宅開業時にも、施術所としての法的な構造設備基準を満たす必要があるため、事前に保健所と相談しておくことをおすすめします。

他の治療(整体やマッサージ)と組み合わせることはできますか?

鍼灸と整体・マッサージなどを組み合わせることも可能です。ただし、保険適用の可否や提供するサービス内容に応じて法的な取り扱いが異なる場合があるため注意が必要です。

まとめ

鍼灸師として開業するためには、はり師やきゅう師の国家資格を取得する必要があります。鍼灸師を目指す場合は、専門的なカリキュラムと実践的な技術を学べる専門学校に通うのがおすすめです。

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