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介護とは?三原則や介助・看護との違い、主な仕事内容など基礎知識を解説

この記事でわかること3点まとめ

  • 介護は、日常生活が困難な人を支え、尊厳ある自立した生活ができるよう手助けすること
  • 急速に進む高齢化による影響から、介護の仕事の需要が高まっている
  • 介護の三原則は「生活の継続性」「自己決定の尊重」「残存能力の活用」

介護とは、高齢者や障害者が自分らしい生活を送れるよう支援することです。

高齢化社会の進展により介護の需要が高まっていますが、その具体的な仕事内容や、必要とされる知識や技術をご存知ない方も多いでしょう。

本記事では、介護の基本的な意味から三原則、他の職種との違い、具体的な仕事内容まで詳しく解説します。さらに、介護職に求められるスキルや資格についても紹介します。

介護について理解を深めたい方や介護職を目指している方は、ぜひ参考にしてください。

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介護とは?意味や役割などの基礎知識

手を差し伸べる人

まず、介護とはどのようなものか理解を深めていきましょう。ここでは、介護の基本的な意味や役割、介護が必要とされる社会的背景など、介護に関する基本知識を紹介します。

介護の基本的な意味

介護とは、高齢や病気、障がいなどで日常生活が困難な人を支え、尊厳ある自立した生活ができるよう手助けすることです。

支援の範囲は、食事や入浴、排せつといった身体的なケアはもちろん、利用者の心のケアも含まれます。また、利用者一人ひとりの状況に合わせて適切な支援を提供するため、仕事として介護に携わるには、専門知識と技術が不可欠です。

なにより大切なのは、利用者の尊厳を守りながら支援することです。お世話をするのではなく、その人らしい生活を送れるよう支えることが、介護の本質といえるでしょう。

参照:介護・高齢者福祉|厚生労働省

介護が担う役割

介護は主に、利用者の安全や生活の質(QOL=Quality Of Life)を守る役割を担っています。具体的には、利用者が「その人らしく生きること」を支援するため、利用者の希望や置かれた環境に合わせた心身のサポートをおこないます。

また、家族の負担軽減も重要な役割の一つです。家族だけでは対応が困難な介護を、専門的な知識と技術を持った介護職員が支援することで、家族の心身の健康を守ります。

さらに、医療機関や地域の福祉サービスとの連携も介護の大切な役割です。介護は社会の安心を支える基盤の一部として、誰もが安心して暮らせる社会づくりに重要な役割を果たしています。

参照:訪問介護員/ホームヘルパー|職業情報提供サイトjob tag|厚生労働省

世の中に介護が必要とされる背景

介護が社会的に求められる背景には、急速に進む高齢化があります。

高齢化が進むほど介護を必要とする人の数は増加し、2025年には団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になることから、介護需要は今後さらに高まる見込みです。

一方で、核家族化や共働き世帯の増加により、家族だけでは介護を支えきれないケースも増加しています。利用者やその家族の高度化・多様化する介護ニーズに応えるためには、専門的な知識と技術を持った介護職員による支援が不可欠です。

このような社会情勢の変化により、介護の仕事は今後ますます重要性が高まる仕事として認識されています。

参照:介護ニーズが増大する「2025年問題」を前に 介護・福祉職員等を対象とした居住支援特別手当の受付開始|東京都

介護の三原則とは

医師と介護士と高齢者

介護の基本となる考え方を示した「介護の三原則」があります。この三原則は、介護に携わるうえで重要な指針となるため、介護の基礎知識とあわせて理解しておきましょう。

それぞれの原則について詳しく解説していきます。

生活の継続性

介護の三原則の一つ目は、「生活の継続性」という考え方です。

これは、介護を必要とする人が住み慣れた生活環境や生活リズム・習慣を変えることなく、できるだけ今までどおりの生活を継続できるようサポートすることを指します。

例えば、以下のようなサポートが生活の継続性にあたります。

  • 在宅介護において、利用者の好みに合わせた食事を提供する
  • 施設に入居する際に、自宅で愛用していた家具の持ち込みを認める
  • 散歩の習慣がある場合、体調に合わせて施設周辺での散歩時間を設ける

人は環境や生活リズムの大きな変化があると、心身に負担を感じる場合があります。そのため、利用者が安心して暮らせるよう、馴染みのある環境や習慣を大切にしながら生活の支援をおこなう必要があります。

自己決定の尊重

二つ目は、「自己決定の尊重」という考え方です。

介護を必要とする人が、自分の暮らし方や生き方を自分で決められるように支援し、その決定を尊重することが、介護の基本的な姿勢となります。

そのため、介護が必要になった場合、本人が望む生活やケアについて、納得したうえで決定することが望ましいです。介護者や家族は本人の意思を最優先に考え、その選択をサポートする役割を担います。

しかし実際には、周囲の都合や効率性が優先されるあまり、本人の意思が軽視される傾向があります。介護者は利用者の思いや希望をしっかりと聞き取り、その人らしい生活を実現できるよう支援することが大切です。

残存能力の活用

三つ目の原則は、「残存能力の活用」という考え方です。

これは、介護者がすべて代わりにおこなうのではなく、利用者本人の今ある能力を最大限に使い、自分でできることは自分でやってもらうことを意味します。

本人ができることまで周りの人が手助けしてしまうと、現時点で持っている身体的機能が低下し、自立度が下がってしまいます。

そのため、介護者は利用者の能力を正しく評価し、どこまで利用者自身でできるかを見極めることが大切です。適切な支援の範囲やレベルを保つことで、利用者の尊厳や意欲を守りつつ、心身の機能維持・向上を図れます。

介護と介助・看護の違いとは

手を触る人

介護と混同されやすい言葉として、「介助」と「看護」があります。ここでは、介助と看護の意味を、介護との違いも交えて解説します。

介助との違い

前提として、介助は介護の一部であり、介護に含まれる行為です。

介助とは、食事や移動、入浴といった日常動作を直接支援する行為そのものを指します。例えば、歩行が困難な人の移動を手助けしたり、食事を口まで運んだりするなどの行動が介助にあたります。

一方で、介護は身体的な手助けだけでなく、日常生活全般におけるサポートや生活の質の向上まで含む、より幅広い概念です。

つまり、介助は介護を構成する要素の一つであり、介護は介助を含んだより包括的なサポートといえます。

看護との違い

介護と看護の最も大きな違いは、「医療行為をおこなうかどうか」です。

看護は、医師の指示のもとで病気やけがの治療や予防などの医療的な処置をおこなうことが業務の中心となります。一方で、介護は高齢者や障害者の日常生活の支援や心のケアが主な業務です。

そのため、注射や点滴などの医療行為は看護の専門領域であり、介護ではこれらの行為をおこないません。

また、目的にも違いがあります。看護は病気やけがを「治すこと」が主な目的であるのに対し、介護は利用者の生活を「支えること」を目的としており、それぞれ明確な役割分担があります。

看護とは?定義・対象者・仕事内容・介護との違いなどわかりやすく解説

介護保険サービスとは

介護が必要になった人を支える仕組みとして、介護保険サービスがあります。これは、介護が必要と認定された人が、国の制度を使って少ない負担で利用できる介護サービスを指します。

具体的には、65歳以上の高齢者や、40歳から64歳までの特定の病気を患っている人が対象です。これらの人が要介護認定を受けると、通常なら高額な介護サービスを、1割から3割の自己負担で利用できるようになります。

介護保険サービスは主に、「居宅介護サービス」「施設介護サービス」「地域密着型サービス」の3つに分けられ、それぞれ受けられるサービスの内容が異なります。

具体的な特徴を、以下の表にまとめました。

種類特徴
居宅介護サービス利用者が自宅で生活しながら受けられる介護サービスのこと。ホームヘルパーによる訪問介護や生活支援のほか、通所介護(デイサービス)、福祉用具の貸与なども含まれる。
施設介護サービス介護施設に入所して24時間体制で介護を受けるサービスのこと。自宅での介護が困難になった人や、常時見守りが必要な人にサービスを提供する。
介護老人保健施設(特別養護老人ホーム)や介護老人保健施設(老健)などがあり、それぞれ目的や機能が異なる。
地域密着型サービス住み慣れた地域で暮らし続けられるよう支援する介護サービスのこと。原則として、サービス事業所がある市町村の住民のみが利用できる。
小規模多機能型居宅介護や認知症対応型通所介護などがあり、地域の特性に応じたきめ細かなサービスを受けられる。

利用者は、自身の置かれた状況や希望に合わせてこれらのサービスを選択できます。

参照:介護保険の解説|厚生労働省
参照:公表されているサービスについて|厚生労働省

介護の主な仕事内容

介護では、さまざまな業務を通じて、利用者の日常生活を総合的にサポートします。介護の主な仕事内容は、以下の表を参考にしてください。

業務内容具体例
身体介護食事介助・食事を口まで運ぶ
・食事中の見守りや声かけ
入浴介助・浴室への移動や衣類の着脱
・身体を洗う手助け
・水温や室温の調整
排泄介助・トイレへの誘導
・オムツ交換
・排泄後の清拭
更衣介助・衣類の着脱の手助け
移動介助・車椅子への移乗や歩行支援
・立ち上がりや移動時の転倒防止対策
生活援助家事援助・調理や掃除、洗濯、買い物などの家事代行や支援
・生活環境の整備
レクリエーション・音楽療法や工作活動、軽い運動など身体・認知機能の維持向上を図る活動
相談・助言・介護に関する悩みや不安の聞き取り
・専門的知識に基づくアドバイスの提供
介護記録・報告書の作成・利用者の状態変化や提供したサービス内容の記録と報告

介護職の仕事の主な種類

介護士と高齢者

介護の仕事は、主に5種類に分けられます。それぞれ役割や必要な資格は異なりますが、いずれも介護の現場を支える重要な職種です。

ここでは、各職種の特徴を詳しく説明します。

介護士

介護士は、利用者の食事や入浴、排泄などの日常生活をサポートする介護現場の中心的な存在です。

高齢者施設や在宅介護、通所介護など、さまざまな場所で活躍しています。身体介護から生活援助まで幅広い業務を担当し、利用者一人ひとりに寄り添ったケアを提供します。

介護士として働くために必須の資格はありません。しかし、介護福祉士という国家資格を取得すると、専門的な知識と技術を活かして質の高い介護サービスを提供できるようになります。また、待遇や転職のしやすさにおいても、よい影響が期待できます。

参照:施設介護員|職業情報提供サイトjob tag|厚生労働省

介護助手

介護助手は、主に介護の現場で、掃除や食事の配膳、介護士のサポートなどをおこないます。特別な資格がなくても働ける職種のため、介護の現場を知るための第一歩として多くの人が選択しています。

介護の現場で利用者と直接関わる機会が多いため、実際の業務を通じて介護の基本的な知識や技術の習得が可能です。そのため、将来的に介護士を目指すための準備段階として最適な職業でもあります。

生活相談員(ソーシャルワーカー)

生活相談員は、介護施設の利用者やその家族が抱える不安や悩みを解決し、生活に関する助言や各種手続きをサポートする職種です。

多くの生活相談員は、社会福祉士や精神保健福祉士などの国家資格を取得しています。社会福祉士は福祉・医療分野の幅広い知識を持つ国家資格であり、精神保健福祉士は精神障害者への支援を専門とする国家資格です。これらの専門的な知識を活かして、利用者に適切な支援を提供します。

利用者やその家族、医療従事者、介護スタッフなど、さまざまな立場の人と関わるため、コミュニケーション力が必要とされる場面が多い職種でもあります。

参照:福祉ソーシャルワーカー|職業情報提供サイトjob tag|厚生労働省
参照:社会福祉士及び介護福祉士法|e-Gov
参照:精神保健福祉士法|e-Gov

サービス提供責任者(サ責)

サービス提供責任者は、訪問介護事業所において介護サービス全体を統括する役職です。利用者に適切なサービスを提供するため、サービス内容の決定からスタッフのスケジュール管理などの事務作業まで、幅広い業務を担当します。

サービス提供責任者に就くには、介護福祉士の資格取得をはじめ、いくつかの実務研修を修了する必要があります。また、介護への深い理解が求められるため、現場で経験を積んでから任用される場合がほとんどです。

サービス提供責任者は、高い専門性と管理能力の両方が求められる立場であり、訪問介護サービスの質を大きく左右する重要な役割を担っています。

参照:訪問介護のサービス提供責任者|職業情報提供サイトjob tag|厚生労働省

ホームヘルパー(訪問介護員)

ホームヘルパーは、利用者の自宅を訪問して身体介護や生活援助を提供する職種です。

利用者が住み慣れた環境で安心して生活を続けられるよう、一人ひとりの状況に応じた介護サービスを提供するとともに、利用者の自立を促すサポートもおこないます。

ホームヘルパーとして働くには、各自治体や社会福祉協議会、企業などで開催される「介護職員初任者研修」の修了が必須です。

利用者の在宅生活継続を支える重要な職種として、ホームヘルパーは地域の福祉を支えています。

参照:訪問介護員/ホームヘルパー|職業情報提供サイトjob tag|厚生労働省

介護の仕事をするうえで心がけるべきこと

外で話す介護士と高齢者

より質の高い介護サービスを提供するためには、「介護の三原則」だけでなく、利用者と仕事仲間の接し方で心がけておきたいポイントがあります。

まず、利用者と向き合う際は、一人ひとりの立場に立った思いやりのある対応を心がけましょう。利用者の身体状況や生活背景はそれぞれ異なるため、その人らしさを理解し、個別のニーズに応じた支援を提供することが大切です。

また、常に安全に配慮しながら、プライバシーや尊厳を守る姿勢を忘れずに対応することも求められます。

次に、介護の現場では多くの専門職が連携してサービスを提供しているため、仲間との協力も重要です。お互いに報連相(報告・連絡・相談)を徹底し、利用者の変化や気付いた点などを速やかに共有して、対応を話し合う機会を持ちましょう。

チーム全体で利用者を支えるという意識を持つことで、より質の高い介護サービスの提供が可能になります。

まとめ

介護とは、高齢者や障害者が自分らしい生活を送れるよう支援することです。高齢化が進む日本において介護を必要とする人は増加しており、それにともなって今後ますます介護に従事する人材の需要も高まると予想されます。

また、介護の仕事には介護士や生活相談員など多様な職種があるため、自分の適性や目標に合わせてキャリアを選択できる魅力があります。

介護は決して簡単な仕事ではありませんが、安定した雇用と社会貢献を両立できる特徴があり、将来性とやりがいに満ちた職業といえるでしょう。

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