歯科衛生士は、歯科医師の診療サポートや患者さんの口腔ケアをおこなう職業です。専門的な知識と技術を必要とする国家資格の一つであり、患者さんの歯や健康を守るために重要な役割を担っています。
この記事では、歯科衛生士の仕事内容について解説します。具体的な業務内容はもちろん、仕事場所や年収なども紹介しますので、歯科衛生士を目指している方はぜひ参考にしてください。
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歯科衛生士とは
歯科衛生士は、歯科医師の指導の下で患者さんの歯の健康を守る仕事です。具体的には、次のような仕事があります。
- フッ素の塗布
- 歯垢や歯石の除去
- 治療に使う器具の消毒
- インプラント手術の介助
- 虫歯予防や歯磨き指導
上記の業務を通じて、治療がスムーズに進むよう歯科医師をサポートします。
さらに「歯科保健指導」も歯科衛生士の仕事のひとつです。保健所での虫歯予防のアドバイスや、高齢者・障がい者施設での歯磨き指導など、地域社会の口腔ケアを担っています。
歯科助手と歯科衛生士は違う?
歯科助手と歯科衛生士の違いは下記表のとおりです。
項目 | 歯科衛生士 | 歯科助手 |
---|---|---|
資格 | 歯科衛生士(国家資格)が必要。 | 資格は不要。 (民間資格は取得可能だが必須ではない。) |
医療行為 | 医療行為ができる。 | 医療行為はできない。 |
仕事内容 | 歯科医師の指示のもと、予防処置・診療補助・歯科保健指導などをおこなう。 | 治療補助業務(医療行為ではない範囲)・器具の準備・片付け・受付・会計などをおこなう。 |
年収 | 約404.3万円(※1) | 約317万円(※2) |
月収 | 約24.9万円(※1) | 約19.9万円(※2) |
歯科衛生士は、国家資格を持つ医療従事者です。専門学校で3年以上学び、国家試験に合格する必要があります。
一方、歯科助手は医療従事者ではなく、補助スタッフとして勤務します。医療行為はできませんが、歯科医師や歯科衛生士をサポートする役割を担う職種です。
年収は歯科衛生士の方が高く、約87万円ほどの差があります。自身のキャリアプランや働き方にあった選択を検討しましょう。
(※1)歯科衛生士 – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
(※2)歯科助手 – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
歯科衛生士の仕事・業務内容

歯科衛生士の仕事・業務内容について解説します。予防処置や診療補助など、歯科医療現場で果たすべき多様な役割を紹介します。
虫歯・歯周病の予防
虫歯や歯周病を防ぐための予防処置は歯科衛生士の仕事のひとつです。具体的には、歯を強くする「フッ素塗布」や、歯石をきれいに取り除く「歯石除去」があります。また、毎日の歯磨きでは落としきれない汚れを、専用の器具を使ってきれいにする「機械的歯面清掃」もおこないます。
診療の補助
歯科医師の診療をスムーズに進めるためのサポートも歯科衛生士の役割です。具体的には、治療器具の準備や受け渡し、バキュームやライトの操作を通じて歯科医師の診療を補助します。医師の指示を受けて、歯科治療の一部を任されるケースもあるため、治療に関する深い知識も必要です。
また、患者さんと接する機会が多い歯科衛生士は、患者さんの不安や疑問を歯科医師に伝える橋渡し役としても活躍します。患者さんの気持ちを汲み取り、適切に伝えることで、治療がスムーズに進むだけでなく、患者さんの満足度向上にもつながります。
歯科保健指導
歯科保健指導は歯科衛生士の重要な役割のひとつです。患者さん一人ひとりに合わせた正しい歯磨き法の指導や、摂食・嚥下機能を向上させるための食べ方や噛み方の訓練が含まれます。
歯科保健指導は、歯科医院だけでなく、幼稚園や学校・介護施設などでも実施され、多くの場面で活用されています。対象者は子どもから高齢者・健康な人から病気の人までさまざまです。そのため患者さんの年齢や健康状態・生活習慣を考慮し、それぞれに最適な指導内容の提供が求められます。
受付・カルテの準備
歯科衛生士は、虫歯や歯周病の予防処置や診療補助・歯科保健指導以外の仕事もこなしています。例えば、下記のような仕事も歯科衛生士の仕事のひとつです。
- 薬剤や器具の在庫管理
- 使用した器具の滅菌・消毒
- 診療室を清潔に保つための清掃
さらに、歯科医院によっては、受付や会計・予約管理などをおこなう場合もあります。これらの業務を通じて、歯科衛生士は医院全体の運営を支える重要な役割を果たしています。
歯科衛生士の主な仕事場所
歯科衛生士の仕事場は、歯科医院だけに留まりません。どのような場所で歯科衛生士が求められているのかを詳しく解説します。
歯科医院
歯科衛生士の就職先の約9割が虫歯などの治療をおこなう歯科医院です。厚生労働省の統計によると、令和6年9月時点で全国に66,384施設の歯科診療所があり、求人倍率も高いため、自身に合った職場を見つけやすい環境です。
勤務地は都市部から住宅街まで選択肢は豊富で、一般歯科のほか、小児歯科や矯正歯科・口腔外科など専門分野に特化した医院もあります。
比較的小規模院が多いため、臨床経験を積みたい人には実務に携われる機会の多い職場といえます。
大学病院・病院
大学病院や総合病院で働く歯科衛生士は、虫歯や歯周病の予防に加え、外科・小児歯科・矯正歯科など専門的な治療にも携わります。設備や技術が整った環境で働けるため、より高度な知識や技術を習得できる点が大きな魅力です。
また、総合病院では歯科医師だけでなく、医師・看護師・薬剤師・栄養士などと連携するチーム医療が実践されています。多職種連携は、総合病院ならではの働き方といえるでしょう。
一般の歯科医院では対応できない難しい症例を扱う場合が多く、歯科衛生士として貴重な経験を積むことが可能です。将来的には、研究や教育分野への道も広がります。
介護福祉施設
歯科衛生士は介護施設で利用者の口腔ケアをおこない、健康的な生活を支える重要な役割を果たしています。
高齢者は加齢とともに噛む力や飲み込む力が衰えるため、食後に口内の食べ物を確認し、誤飲や窒息を防ぐことが不可欠です。
さらに、入れ歯の洗浄や個々の状態に合わせた歯磨き指導をおこないます。介護士と協力して利用者の健康的な生活をサポートします。
訪問歯科
病院や施設に通うのが難しい高齢者や障がい者のために、歯科医師や歯科衛生士が自宅を訪問して診療をおこなう「訪問歯科」も働き方のひとつです。
歯科医師と訪問する際は、診療の補助・口腔ケア・患者さんやご家族への歯磨き指導を担当します。
一方、歯科衛生士が単独で訪問する場合は、医師が作成した治療計画に基づき、血圧測定や口腔内のクリーニング・入れ歯のケアを実施します。
高齢患者の健康状態や口腔機能の低下に応じたケアが求められるため、柔軟な判断力と臨機応変な対応が重要です。
歯科衛生士の年収はどれくらい?
厚生労働省によると、歯科衛生士の全国平均年収は約404.3万円です(※)。また、ハローワークの求人統計データによると、求人賃金の平均は月額24.9万円です。
労働時間の全国平均は164時間となっており、仮に22日出勤したとすると1日平均7.4時間働く計算になります。
8時間労働が基本のフルタイム職種と比べてやや短めであり、ワークライフバランスが取りやすい点が特徴です。
(※1)歯科衛生士 – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
歯科衛生士になるには
歯科衛生士になるには、歯科衛生士養成機関を卒業し、国家試験に合格する必要があります。養成期間で専門知識や技術を学んだ後、国家資格を取得して初めて歯科衛生士として働けるようになります。
養成機関での学びと国家資格取得の流れについて詳しく見ていきましょう。
歯科衛生士の養成学校で知識・技能を学ぶ
歯科衛生士になるためには、まず歯科衛生士養成機関で必要な知識や技術を学びます。養成機関には専門学校・短期大学・大学があり、いずれも3年以上の学習が求められます。
カリキュラムは大きく分けて次の3つです。
- 基礎的教養科目
- 基礎的専門科目
- 専門科目
専門科目を学ぶための基礎知識や、社会人として必要な思考力を身につける「基礎的教養科目」、人体の構造や歯・口腔などの理解を深めるための「基礎的専門科目」を勉強します。その後、医療現場での臨床実習を含む「専門科目」で実践的なスキルを身につけ、歯科衛生士として必要な能力を総合的に習得していきます。
歯科衛生士の国家資格を取得する
歯科衛生士養成機関を卒業後、歯科衛生士国家試験の受験資格を得ます。試験に合格すると、歯科衛生士免許が交付され、歯科衛生士として働くことが可能です。
歯科衛生士国家試験の概要をまとめました(※1)(※2)。
歯科衛生士国家試験概要 | |
---|---|
受験日 | 毎年3月初旬 |
試験時間 | 午前の部:2時間半 午後の部:2時間半 |
試験方式 | マークシートによる選択問題(計220問) |
受験科目 | 歯・口腔を除く人体の構造と機能 歯・口腔の構造と機能 疾病の成り立ちおよび回復過程の促進 歯・口腔の健康と予防に関わる人間と社会の仕組み 歯科衛生士概論 臨床歯科医学 歯科予防処置論 歯科保健指導論および歯科診療補助論 |
受験手数料 | 14,300円 |
合格率 | 過去5年間の合格率:約92〜96% |
試験合格に向けて、実技だけでなく座学でも基礎知識をしっかりと身につけることが大切です。国家試験合格を目指して理解を深めておきましょう。
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歯科衛生士を目指す方にとって、歯科衛生士専門学校への入学は非常に有効な選択肢です。専門学校では、実践的な技術や知識を体系的に学ぶことができ、国家試験合格に向けたサポートも充実しています。
また、現場での実習を通じて、実際の業務に即したスキルを身につけることができるため、卒業後の就職活動にも有利です。歯科衛生士としてのキャリアを築くためには、専門学校での学びが不可欠です。興味がある方は歯科衛生士専門学校の詳細をご覧ください。