近年、医療現場でもAIの導入が進んでいます。しかし、医療AIとは何か、なぜ必要なのか疑問に思う方もいるでしょう。
本記事では、医療AIの定義や必要性をわかりやすく解説します。導入事例やメリット・デメリットについても触れているため、医療AIに関心のある方は参考にしてください。
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医療AIって何?なぜ今、医療現場でAIが必要なのか

まずは、医療AIの定義や現場で必要とされる理由を解説します。
医療AIの定義と広がる「お手伝い」の領域
医療AIとは、AIの力を使い、医療の質を良くする取り組みです。ゲノム医療や診断、手術支援、新薬開発、介護など幅広い分野で活躍し始めており、特に進んでいるのは画像診断支援です。
近年は、医療技術の進歩により、確認すべき医療画像の数が増えています。AIは医師の負担を軽減し、診断の質を高める「サポート役」として期待されています。
病院経営のピンチと仕事の効率化の必要性
現在、日本やアメリカの病院は、物価や人件費の高騰で経営が大変な状況にあります。
また、高齢化が進むなか、特に地方では医師不足が深刻化しています。医療を安定して提供し続けるには、AIによる業務効率化が欠かせません。
AIを使った診断が「保険」で認められる時代に
AIを用いた画像診断補助に対する加算が、2022年から公的医療保険の対象(診療報酬加算)となりました。
以上のことから、医療AIによる人手不足や医師の負担の軽減、医療の質向上を目指し、医療現場での積極的な活用が進められていることがわかります。
参照:実臨床応用を目標とした 医療AI研究開発|J-Stage
医療AIの主な活用例

ここからは、厚生労働省が特にAI開発を進めるべきだと定めた重点分野6つをご紹介します。
参照:保健医療分野におけるAI開発の方向性について|厚生労働省
ゲノム医療
ゲノム医療は、患者の遺伝子情報をもとに診断や治療をおこなう方法で、特にがん治療で注目されています。遺伝子の異常を特定し、一人一人に合った治療を選べるため、効果が高く副作用を抑えやすい点が特徴です。
以前は人の手で膨大なデータを分析していましたが、AIを使うことで解析時間が大幅に短くなり、個々に適した治療薬の提案まで可能になりました。
画像診断支援
画像診断支援は、医療AIのなかでも特に進んでいる領域です。CTやMRIなどの膨大な画像をAIが解析し、診断の精度向上や読影時間の短縮に役立ちます。
MRIを含む画像診断ではAI製品の開発が進み、すでに多くの医療機関で導入が始まっています。
診断・治療支援
医療AIは診断や治療のサポートにも使われています。まだ支援の段階ですが、オンライン診療で考えられる病名を示したり、近くの受診先を案内したりすることが可能です。
実際に問診へ導入している医療機関も増えており、問診時間の短縮、医師の負担軽減、症状の伝え漏れ防止などの効果が確認されています。
医薬品開発
日本では人員や資金などの不足から、新薬開発に多くの時間が必要です。そこで、創薬の工程でAIを導入し、開発スピードの向上やコスト削減が進められています。
また、AIを活用し、患者ごとに最適化したオーダーメイドワクチンの開発も期待されています。
介護・認知症
医療AIは、介護・認知症領域でも開発が進んでいます。介護施設にAIロボットを導入すると、入居者の見守りや危険行動の予測ができ、職員が頻繁に巡回する負担を減らせます。
また、高齢者一人一人に合ったケアプランを自動作成できるため、ケアの質を高めることも可能です。
手術支援
医療AIは、手術現場でも導入が進んでいます。AIが切除ラインを示すことで医師の視覚をサポートし、精神的負担の軽減や適切かつ安全な手術が可能になります。
また、視覚支援は、医師の育成にも役立ちます。
医療AI導入がもたらす大きなメリットと期待される効果

ここからは、医療AIの導入で得られるメリットや期待される効果を解説します。
診断の正確さが飛躍的に向上し、医療の質が一定になる
AIを導入すると、人間では膨大な時間がかかるデータ分析を短時間でおこなえます。
分析結果を活用することで、医師ごとの診断結果のばらつきや見落としを抑え、医療の質の標準化と向上を図れます。
医師の負担を大幅に軽減し、より重要な仕事に集中できる
画像診断、問診、カルテ作成補助などの業務をAIがサポートすることで、医師の作業量が大幅に削減できます。重要な仕事に集中しやすくなり、疲労による判断ミスの防止をはじめ、医療の質と安全性の向上につながります。
事務作業の自動化・効率化と医療ミスのリスク軽減
事務作業は、AIにより自動化・効率化が可能です。結果的に負担が大幅に軽減され、人件費削減も見込めます。
さらに、AIは豊富なデータと照合して精度の高い情報を提供してくれるため、医療ミスの防止にもつながります。
地域医療の格差をなくし、どこでも質の高い医療を実現
医師不足により、都市部と地方で医療の質に差が出ることがあります。しかし、医療AIを活用すれば、地域格差の解消が可能です。
例えば、現地に医師がいなくても、AIを使った診療データの共有で遠隔支援をおこなえるため、全国どこでも標準的な専門医療を受けられるようになる可能性があります。
医療AI導入事例

ここからは、実際の医療AI導入事例をご紹介します。
医療文書作成・業務効率化
まずは、医療文書作成や業務効率化を目的とした医療AIの導入事例をご紹介します。
| 導入期間 | 導入事例 |
|---|---|
| 東北大学病院、日本電気株式会社(NEC) | 生成AIで医療文書の作成時間を約47%削減 |
| 相澤病院、株式会社プレシジョン | AI問診票システムの導入で、月120時間の業務時間削減 |
| 順天堂大学、株式会社FIXER | 生成AIで診療報酬算定作業を短縮するシステムを開発中 |
| 渡部クリニック | AI問診で診察前の情報取得を自動化し、受付スタッフの負担を軽減、診察待ち時間を短縮 |
以上のように、複数の医療機関で事務作業の効率化が進んでいることがわかります。
画像診断・疾病リスク予測
続いて、画像診断・疾病リスク予測分野でのAI活用事例をご紹介します。
| 導入機関 | 導入事例 |
|---|---|
| 国立がん研究センター | 内視鏡検査でAIを使用し、高い病変発見率を達成 |
| 東京慈恵会医科大学付属病院 | AI搭載のCTを導入し、CT検査の効率化を実現 |
| 東京大学医学部附属病院 | 30秒の動画撮影で糖尿病や高血圧を高精度に判定するAIシステムを開発中 |
| 大阪国際がんセンター、医薬基盤・健康・栄養研究所、日本アイ・ビー・エム株式会社 | 医師の問診を支援する会話型システムを導入 |
以上のように、画像診断・疾病リスク予測の分野でも医療AIの導入で質向上や効率化を実現しています。
患者サポート・インシデント防止
次に、患者サポート・インシデント防止のためのAI導入事例をご紹介します。
| 導入機関 | 導入事例 |
|---|---|
| 株式会社CureApp | 高血圧治療アプリにAIを活用し、服薬指導などをサポート |
| 株式会社スマートゲート | 患者の転倒・転落リスクをAIで予測し、看護師の業務負担とインシデント報告件数を減少 |
医療AIは、患者サポート・インシデント防止の分野でも導入が進んでおり、実際に看護師の精神的・身体的負担にもつながっています。
その他
ここでは、前述した分野以外のさまざまな導入事例をご紹介します。
| 導入機関 | 導入事例 |
|---|---|
| メイヨークリニック | 大量の医療データに効率的にアクセスできる生成AIを導入 |
| 社会保険診療報酬支払基金 | レセプト審査にAIを導入し、チェック作業の効率化とミス削減を推進 |
| 株式会社サプリム | 姿勢推定AIを活用したリハビリ支援とオンライン診療システムを開発 |
以上のように、病院以外にもさまざまな場所で医療AIの導入が進んでいます。
医療AI導入にともなう課題と注意点

医療AIの導入にはメリットが多くありますが、デメリットも無視できません。ここからは、医療AI導入にともなう課題と注意点を解説します。
信頼性と説明責任
AIの精度を高めるためには、質の高い「教師データ」を大量に集めることが必須です。特に、人の命に関わる医療分野では信頼性の高いデータが必要ですが、民間の医療機関での構築は難しいのが現状です。
また、AIの診断過程が不透明なため、信頼性の確保が課題となっています。
誤診・誤作動のリスク
AIは学習したデータに基づいて分析をおこなうため、未知の病気に遭遇した際に正確に対応できない可能性があります。
また、AIにもミスや誤作動は存在するため、診断が確実ではないことを認識し、最終的には医師の確認が必要です。
導入コスト
医療AIの導入が進まない理由の一つに、導入・維持にかかる高コストがあります。高度な技術と専門知識が必要なため費用がかさみ、特に小規模な医療機関では導入が難しい場合があります。
専門家不足
医療AIの導入には多種多様なデータが必要です。しかし、個人情報保護の観点から質の高いデータの確保が難しく、取り扱いにも注意が必要です。
また、AIはデータからパターンを抽出して一般的な助言をおこなうため、最終判断は医師が下す必要があります。補助ツールとして活用するには、AIの仕組みを理解した専門人材の確保が欠かせません。
倫理的・法的な課題
医療AIは問題が起きても責任を負えない点が課題です。厚生労働省は、医療AIを使った診療でも最終判断は医師自らが責任を持つ必要があると示しています。
2019年、厚生労働省は「AI技術の進展を踏まえた継続的な議論の必要性」を指摘しており、将来的に基準が変わる可能性もあります。医療AI導入には、リスク対策とともに倫理・法制度の整備も必要です。
参照:保健医療分野AI開発加速コンソーシアム 議論の整理と今後の方向性|厚生労働省
まとめ
医療AIは、医療の質向上や人手不足の解消、業務負担の軽減を目的に導入が進んでいます。データの質や安全性など課題はあるもののメリットは大きく、今後さらに導入が加速すると考えられます。
持続可能な医療体制をつくるうえでも、AIの活用は欠かせない選択肢です。
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