言語聴覚士はリハビリテーション職の1つで、主に「話す、聞く、食べる」ことに関する支援をおこないます。
今回は言語聴覚士を目指す方に向けて、なり方や仕事内容、向いている人、国家資格など幅広くご紹介します。
言語聴覚士とは?
言語聴覚士は、「話す、聞く、食べる」ことのスペシャリストで、言葉によるコミュニケーションに問題を抱える方の支援をおこないます。
ST(Speech-Language-Hearing Therapist)とも呼ばれます。
言語聴覚士の仕事内容
言語聴覚士は、ことばによるコミュニケーションや食べることに問題を抱える方に対し、訓練や指導などをおこない支援します。
ことばによるコミュニケーションには、言語・聴覚・発声・発音・認知などさまざまな機能が関係しています。これらの機能は、事故や病気、加齢、発達の問題などによって障害が生じることがあります。
なぜことばや食事に問題が起きているのかを明確にし、適切なアプローチをおこなうのが言語聴覚士の仕事です。
具体的には、次のようなものが挙げられます。
- 脳卒中で失語症になった患者さんに、発語器官・呼吸筋の訓練をおこなう
- 耳が聞こえにくい子どもに、聞き取りや発音の訓練をおこなう
- 食べ物でむせやすくなった高齢者に、嚥下訓練をおこなう
言語聴覚士が活躍できる分野
言語聴覚士は、幅広い分野で活躍できます。
- 医療
病院や診療所などの医療分野で働く言語聴覚士は多く、実際、日本言語聴覚士協会会員の6割は医療機関に所属しています。
主に、病気やケガによる言語障害に対してリハビリをおこないます。
- 介護
介護保険施設などで、高齢者のサポートをおこなう言語聴覚士もいます。
加齢・認知症などが原因で発声や耳の聞こえに問題を抱え、コミュニケーションが難しくなった高齢者や、嚥下障害を抱える高齢者に対してリハビリをおこないます。
- 福祉
障がい者福祉施設、児童福祉施設、保健所などの福祉分野でも、言語聴覚士は活躍しています。
話す、聞く、食べることに問題を抱える障がい者や子どもに対し、リハビリを実施します。
言語聴覚士のやりがい
言語聴覚士のやりがいは、やはりリハビリテーションの成果が出たときです。
言語聴覚士が取り扱う「話す、聞く、食べる」という動作は日常のなかでも重要であり、失われることで生活の質も大きく下がってしまいます。
リハビリによってそうした機能を改善することで、患者さんの生活を健康に、より豊かにできます。
「以前と同じように話せるようになった」「安心して食事を楽しめるようになった」という患者さんの喜びの声を聞くことで、言語聴覚士は大きなやりがいを感じることができるでしょう。
言語聴覚士になるためには
言語聴覚士になるには、養成校に通ったあと、国家試験に合格する必要があります。
言語聴覚士養成所に入学する
文部科学大臣や各都道府県知事が指定する、言語聴覚士養成所に入学します。
次のように、最終学歴によって進路が異なります。
- 高卒者:大学・短大・専修学校(3〜4年制)
- 一般大卒者:大学または大学院の専攻科・専修学校(2年制)
国家試験の受験資格を得る
上記の言語聴覚士所で教育課程を修了することで、言語聴覚士国家試験の受験資格が得られます。
養成所では、次のようなことを学ぶのが一般的です。
- 基礎・専門基礎科目:医学、心理学、言語学など
- 専門科目:言語聴覚障害学総論、失語・高次脳機能障害学、発声発語・嚥下障害学など
- 臨床実習:病院やリハビリセンターなどでの実習
言語聴覚士の国家資格を取得する
言語聴覚士の国家資格取得のため、試験を受けます。
試験は毎年2月に実施され、筆記形式です。
合格率は50%〜60%と一見難しいようですが、既卒者を含めた合格率のため低くなっています。
養成所の新卒者の合格率は80%程度のため、養成所でしっかり試験対策をすることが重要であることがわかります。
言語聴覚士として働く
国家試験に合格し、資格を取得すると言語聴覚士として働くことができます。
養成所によっては就職サポートをおこなっている場合もあるため、学校をえらぶときは、どんな就職サポートが受けられるかを1つのポイントにして探すのもよいでしょう。
言語聴覚士を目指せる学校の種類
言語聴覚士を目指せるのは、文部科学大臣や各都道府県知事が指定する言語聴覚士養成所です。
具体的には、次のものが挙げられます。
専門(専修)学校
専修学校のうち、専門課程を設置しているものを専門学校と呼びます。
実習や就職サポートに力を入れている学校も多いのが特徴です。
国家試験の受験資格を得るためには、高校卒業後すぐに入学する場合3〜4年制、一般大学を卒業している場合は2年制の学校に通います。
大学
大学では、4年間で一般教養も含めて幅広く学びます。
大卒者の場合は、専攻科で2年間学べば言語聴覚士試験の受験資格が得られます。
短期大学
高卒者の場合、短期大学で勉強するという選択肢もあります。
大学よりも短い期間で効率よく学びたい方におすすめです。
言語聴覚士に向いている人
ここでは、言語聴覚士に向いている人の特徴をご紹介します。
根気強い人
リハビリテーションは、長い期間をかけておこないます。
患者さんが諦めずにリハビリを続けるには、言語聴覚士が根気強くサポートし続けることが大切です。
そのため、根気強く何かに取り組んだ経験のある人は、言語聴覚士に向いているといえます。
洞察力がある人
ことばによるコミュニケーションが難しい患者さんを相手にすることが多い言語聴覚士にとって、洞察力は必須のスキルです。
どのようなリハビリテーションが必要なのか、患者さんの様子を見ながら決定します。また、リハビリ中に患者さんの表情や仕草から回復の程度を見たり、場合によってはプランを変更したりする場合もあります。
人と関わることが好きな人
言語聴覚士をはじめとするリハビリテーション職にとって、「人と関わることが好き」という気持ちはとても重要です。
言語聴覚士には、患者さんに寄り添い、信頼関係を築くことが求められます。
患者さんの求めていることを察知し、ときに励まし、共感することで、リハビリテーションをやり遂げられるようサポートします。
言語聴覚士に関する資格
言語聴覚士国家資格
言語聴覚士になるには、国家試験に合格し、資格を得る必要があります。
言語聴覚士の国家試験は、マークシートの筆記形式です。
以下のように試験科目が非常に多く、幅広い知識が求められます。
基礎医学、臨床医学、臨床歯科医学、音声・言語・聴覚医学、心理学、音声・言語学、社会福祉・教育、言語聴覚障害学総論、失語・高次脳機能障害学、言語発達障害学、発声発語・嚥下障害学及び聴覚障害学 |
「言語聴覚士国家試験の施行|厚生労働省」より引用
合格のためには、時間をかけて試験対策することが大切です。そのため、多くの言語聴覚士養成所では、国家試験対策をおこなっています。
まとめ
言語聴覚士は、「話す、聞く、食べる」ことのスペシャリストとして、リハビリテーションなどによって言語や聴覚、食事に問題を抱える方を支援します。
「人の役に立ちたい」「感謝される仕事がしたい」と考えている方にぴったりの仕事といえます。
言語聴覚士になるには、特定の養成所に通い、国家試験に合格する必要があります。
まずは、言語聴覚士を目指せる学校を探すところからスタートしてみましょう。
言語聴覚士を目指すなら首都医校がおすすめ
医療・看護・リハビリの専門学校 首都医校の言語聴覚学科では、言語聴覚士に必要なスキルを学び、国家試験の受験資格を取得できます。
2年制で、一般大学を卒業された方を対象としています。
小児から高齢者まで、幅広い分野で活躍する言語聴覚士を目指すことが可能です。
大学医学部でも導入されているOSCE(客観的臨床能力試験)を実施。臨床実習前後に模擬患者へ問診や検査をおこなうことで、技能や知識の習得度を測ります。
言語聴覚学科は「首都医校(東京)」のほかに、「大阪医専(大阪)」「名古屋医専(名古屋)」にも設置されています。
まずは、お近くの校舎のホームページで、カリキュラムのご確認や資料請求をしてみてはいかがでしょうか。