リハビリ分野
2020.02.05
私は以前、日本で9年間、公立高校の英語教諭を務め、その後、特別支援学校の教諭をしていました。その際に言語訓練に取り組んだことがあるのですが、自分の知識不足を痛感しました。この出来事をきっかけに一念発起し、言語聴覚士の資格取得を決意。当時50歳を迎えるタイミングでしたが、現職を続けながら夜間部に通いました。後に教諭として定年を数年後に控えたころ、JICAシニアボランティアとして外国で働く選択肢があることを知りました。もともと国際協力・交流に関心があったため迷わず、定年を待たずに海外で活動することを決断したのです。
現地では、障がい児・障がい者支援の活動に携わっていました。現地には言語聴覚士の養成課程がなく、私が有資格者であることから、派遣先の要請を受け、言語聴覚士と特別支援学校教諭の両方に従事することに。言語聴覚療法だけではなく、例えば「学校教育部」というセクションで、問題行動や介助の必要な学生の多いクラスで授業補助を行いました。また、施設から普通学校へ通う生徒の補習授業をしたりと、様々な役割を担いました。子どもと接するのが好きなことに加え、障がい児とその援助者の置かれている状況を少しでも改善するための取り組みは、大変やりがいのある活動でした。
現在はウルグアイで活動していますが、帰国後も障がい者支援および国際協力・交流に携わりたいと考えています。50歳で言語聴覚士の資格取得を決意したことは、今の私にとってかけがえのない財産となりました。
世界と日本社会への視野を広げるためにも、母校の後輩など若い人たちには、これまで学んできた知識や技術、資格を活かして、ぜひ海外へ出てみることを勧めたいです。
学校教育部での朝の会の様子
摂食訓練の様子
構音訓練の様子
補習授業の様子
留学先では、海外の医療従事者が現地で医療に携わるためのOET(医療英語)テスト対策を開講していました。私はそこで学ぶことを目標に、一般英語クラスからスタート。英語を学んで会得することに苦戦しましたが、最終的にはOETのクラスに到達することができました。講義はすべて医療に関するトピックで、患者さんの状況設定をもとにロールプレイングを行うなど興味深い内容でした。様々な疾患の英文資料も提供されるので、医療知識の復習にもなりました。テストは医療に関連した内容ですが、試されるのは英語力なので、医療英語と全体の英語力を同時に伸ばせる有意義な学習でした。
クラスでは各国から留学にきた医療人とともに勉強します。それぞれの国の医療事情について情報交換する中、文化や宗教が異なれば患者さんへの配慮の仕方も異なることを知るとともに、医療に関する話題において、中心となるのは疾患ではなく常に患者さんであるという共通点も発見できました。テストの合格や医療英語の修得だけが目的なら知識だけで十分でしょうが、皆さん患者さんのための医療を実現したいという意識で学んでいます。この点も日本の看護学生と同じではないでしょうか。学生時代を振り返ってそう思います。
私はまだ臨床経験が少ないので、帰国した今は現場でのキャリアを積んで知識と経験を身につけたいと考えています。英語学習も継続していくつもりで、目標は医療の現場で使える英語を身につけることです。オーストラリアの看護師によると、現場で共に働く日本の医療従事者はとても信頼でき評価が高いそうです。今後ますます日本の医療人が海外で活躍できるチャンスは増えていくことでしょう。
校費留学制度とは…アメリカやヨーロッパなど、医療・福祉・スポーツ先進国の専門学校や大学へ留学できる制度。必要な渡航費・学費(1年間分)は本学が支援。グローバルな視点で判断できるエキスパートの育成を目的としています。
お世話になった学校の先生と一緒に
メルボルンシンボル的な建物 Flinders Street Station
メルボルン市内
特別看護コースでお世話になった看護師の講師と一緒に