東洋医療分野
2025.12.22
瀬川 正嗣さん
お花歯科医院 院長
2017年卒業
星 麻菜美さん
クリケット女子日本代表トレーナー
2018年卒業
井上 賢人さん
いのうえ接骨院 院長
2018年卒業
西岡 冴香さん
ほねつぎ平成けやき接骨院 所属
2017年卒業
中納 仁之さん
Mente船橋二和東院 所属
2017年卒業
黒田 義晃さん
恩多町の整骨院 院長
2017年卒業
お花歯科医院 院長
2017年卒業
歯科医師のかたわら夜間部で柔道整復師の資格を取得。
クリケット女子日本代表トレーナー
2018年卒業
オーストラリアのマッサージ店や日本の整骨院を経てフリー。
いのうえ接骨院 院長
2018年卒業
大学在学中にダブルスクールで母校夜間部へ。
ほねつぎ平成けやき接骨院 所属
2017年卒業
都内整骨院を経て帰郷。現職では受付兼治療補助。
Mente船橋二和東院 所属
2017年卒業
マラソンによるケガで柔整に出会い、飲食業界から転身。
恩多町の整骨院 院長
2017年卒業
IT業界や製造業を経て母校へ。卒業後1年半で独立。
瀬川
僕の本業は歯科医師ですが、オリンピック選手の口腔ケアにも携わっていて、もっと広い視野で全身をサポートするために柔道整復学科の夜間に通いました。
同時にボランティアで長年、カンボジアの農村地域の歯科診療を続けていたんです。医療体制が整っていない地域で、柔道整復師も何かできるはずと在学中から考えていて…。
瀬川
病院までバイクで3時間、とかね。しかも農家の収入では医療費を賄えないから、痛みがあってもケアできない。
そういった人々を支える柔道整復師のボランティア団体が当時は見当たらなくて、それなら自分たちでつくろうとみんなに話していました。
黒田
「海外ボランティア第一号になろうよ」と。卒業後も声をかけてくれて嬉しかったですね。
瀬川
一年に一度、シェムリアップの農村地域で活動しています。
初回は2023年。現地の学校をお借りして、身体に痛みや悩みを抱える患者さんを集い、僕と黒田、星の三人で施術を行いました。
星
人が集まるか不安でしたけど、三十人以上来てくれましたよね。二時間かけて歩いてきた人もいたり、通訳さんに「うちの村にも来て!」と言ってくれた人もいたり。
西岡
二年目のときは、家族を連れて来た人もいましたよね。
瀬川
海外では「日本人」というだけで信用してもらえる。日本ブランドの強さを感じます。
黒田
あとは、腕一本で医療支援できるのも強みかと。西洋医学は電気や衛生的な水など不可欠ですが、僕ら柔道整復師は手袋さえはめれば、電気や水道がなくても施術できる。どんな環境でも必要とされることに、やりがいを感じます。
中納
僕は大手の整骨院グループで働いていますが、どの店舗でも均一な技術を提供するには、ある程度マニュアルに従う必要があって。
でもカンボジアでは、ひとり一人の症状に向き合って自分なりに施術できる。それがすごく面白いです。
これまで海外未経験でしたが、仲間と一緒なら心強いですし、一年目に行ったみんなが口々に「楽しかった」と話すので、二年目は休みをねじ込んで参加しました。
井上
僕もです。実際に行ってみて、経験値を上げるいい機会になりました。日本ではあり得ない症例が多く、施術やアプローチの仕方をその都度考える必要があって、とても勉強になりましたね。
黒田
一年目に、杖をついて来たおじいちゃんがいたのですが、施術後はびっくりするほど元気になって。杖をつかずに歩いて帰ったんです。二年目も同じ場所で僕たちを出迎えてくれたのですが、なんと杖を持っていない!
星
別人でしたよね!
黒田
「教えてもらったことを毎日やったんだ」と嬉しそうに握手してくれて。僕の言葉を信じてケアを続けていたことに感動しました。
星
現地の人はセルフケアに前のめりで。それも新鮮でした。
瀬川
僕たちが現地で施術できるのは数日ですから、セルフケアの啓蒙も大切な活動なんです。現地の暮らしに落とし込めるケア方法はないか、常々話し合っています。
西岡
私は一年目のとき、体調や家族の事情で整骨院を辞めて地元に戻っていたんです。でもみんなとの交流は続いていて、現地での様子も教えてくれて。もう一度頑張りたいと活動に加わりました。
瀬川
ボランティア活動って自分のためでもあるんですよね。長年働いていると見失いがちなやりがいを再認識できる。その感覚を仲間と共有したくて、声をかけていました。
だからこの活動の後に復職したって聞いたときは嬉しかったなあ。
西岡
治療方針に迷ったときは仲間に相談できますし、他の人の施術を学べるのもいい刺激になります。
井上
独立すると他院の施術方法を知る機会はそうないですよね。 でも現地では、ホテルに戻った後もみんなでその日の施術を振り返ったりできて、とても面白かった。
瀬川
自然と技術交換してたね。
黒田
在学中も、昼間部・夜間部問わず、下の学年も一緒に学んできた仲間ですから。
中納
壁を感じなかったよね。思えば、先生方とも。
瀬川
この活動に学科の卒業生を巻き込んでいいものか、先生方に相談したときも、誰ひとり否定しなかった。風通し良く、新しいことに挑戦させてくれる風土が母校にはあると思います。
瀬川
柔道整復師のボランティア団体として、日本で初めてカンボジア王国大使館から認定されました。より現地での活動もスムーズになるので、母校だけでなく日本中から、柔道整復師以外の方にも間口を広げ、活動を拡大していきたいです。
星
団体名は「JOVT(Japan Osteo ー muscle doctor Volunteer Team)」。「骨と筋肉のドクター」という意味合いです。
瀬川
世界で活躍する柔道整復師の入り口になれたら嬉しいですね。
中納
日本で交流する機会もつくりたい。我々のように楽しんでいる柔整師の存在を知ってもらえたら。
西岡
ブランクありでも大丈夫!
黒田
活動を通して柔整の技術が広まって、ゆくゆくは現地に柔整の学校ができたらいいなと。世界がもっとハッピーになると思います。
黒田
電気もガスもなく、道も舗装されていないカンボジアの農村地域では、足腰に負担を抱える人が多いんです。身体を酷使して骨が変形しても、気軽に病院に行けない。