海外支援も起業も。看護師のロールモデルとなるために。

看護分野

2025.12.22

海外支援も起業も。看護師のロールモデルとなるために。

  • 日高 裕司さん

    株式会社U’s 代表 中京メディカル 非常勤

    看護学科卒業(現 実践看護学科Ⅰ・Ⅱ)/2017年卒業

看護師は、もっと高みを目指せる。その価値を発信しています。

中国やモンゴルで眼科手術の介助やスタッフ教育を経験されました

眼科医療をサポートする中京メディカルは、国内だけでなく海外の医療機関も支援していて、私が入職したころ、すでに十年以上の歴史がありました。当時はICL(眼内コンタクトレンズ)や硝子体手術、白内障手術など、日本の高度な医療に対する需要が高く、私も眼科医とともに中国やモンゴルを年に四、五回訪れました。

一回の滞在は少なくとも四泊五日。手術に一日、翌日に診察、といった流れで、その間に現地の医療スタッフの教育も行いました。病気に対する手術内容の解説や手順の説明など、内容は日本の医療従事者に対するものと変わりません。言語の壁はあっても、通訳の方がカバーしてくださいますから。

もともと海外志向をお持ちで?

いえ!むしろ飛行機が苦手だったり、食文化の違いに抵抗があったり、海外に行こうとは思っていませんでした。でも、仕事ですから腹をくくって何度も訪れるうちに、苦でなくなりました。出張最終日にアクティビティを楽しめるときもあって。モンゴルの草原で馬に乗ったこともあります。

何より、現地の医療スタッフさんも患者さんも、人間性がとても明るい。たとえば、ICL(眼内コンタクトレンズ)の術後の見え方に感動した患者さんから、満面の笑顔で握手を求められたり、記念写真を撮られたり。すごくよろこばれるので、こちらも嬉しくなります。スタッフさんとの会食も、乾杯直後から和気あいあいで、腰をすえた話は酔いが深まってから。つたない英語や身振り手振りでも、互いに心を通わせられるのは楽しいですね。今は中京メディカルの非常勤ですが、時々手伝いに行っています。

なぜ、独立してご自身の会社を設立したのですか?

看護師は、出会える人の数が多い職業だと思うんです。私自身、海外での活動を含め、多くの患者さん、医療従事者の方々に出会いました。特に患者さんとは、医療を通して「その方の人生にお邪魔できるチケット(資格)」を持っているのが看護師なのではないか、と。

普通は人のプライベートにズカズカと入れませんが、看護師なら、年齢から生活習慣、趣味・嗜好、家族構成…と患者さんがどんな人生を送ってきたのか、家族とどう過ごしたいのか、知ることができる。つまり、出会った患者さんのぶんだけ、自分のロールモデルが増えていく仕事だと思っています。

その反面、目的意識を持ってキャリアを築かないと、高いスキルや経験があるのに待遇が見合わない、年収が上がらない、と悩んでしまう看護師も多い。こうした現状を変えたくて、看護師や医療業界で働く人々のキャリア支援や人材コンサルティングを行う会社を設立しました。

将来的に訪問看護ステーションも立ち上げたいとか

訪問看護ステーションは、起業を考える看護師にとって今や選択肢のひとつです。私自身は訪問看護の経験がなく、キャリア支援を行う際、実体験がないと説得力に欠けると思い、事業の合間に知人の訪問看護ステーション立ち上げを手伝っています。いずれ自分でも開業して地域医療に貢献したいです。

看護師という資格を駆使して様々な活動や事業に取り組み、成功できることを、自分自身の活動を通して発信していきたい。そのために、母校をはじめ、各地で看護師のやりがいや魅力について講演も行っています。後に続く看護師の方々が理想のキャリアを描ける未来をつくりたい。それが看護師への道を開いてくださった母校への恩返しになると考えています。

日高 裕司さん

株式会社U’s 代表 中京メディカル 非常勤

看護学科卒業(現 実践看護学科Ⅰ・Ⅱ)/2017年卒業

高校卒業後、自衛隊、建築業、飲食業などを経て母校へ。卒業後、中京病院で手術室兼救急外来の看護師を務める。関連企業の中京メディカルに入職後、国内外での診察・手術介助、学会・研究サポート、医療機器の開発・販売、起業支援に従事。2024年に独立し、医療専門転職エージェントを設立。