ALS患者による講演会「難病の現状」と「社会福祉は今後どうあるべきか」 2017.05.09 タグを見る 授業 特別講義 リハビリ 福祉 皆さんは、『ALS』という病気を知っていますか?もしかすると、映画化でも話題となったマンガ『宇宙兄弟』にALS患者が登場することで知った方もいるかもしれません。今回の講演会では、ALSの患者として自らALSの理解を広める活動を行っている、土居賢真氏を講師にお迎えしました。講演会のきっかけをつくってくれたのは、首都医校の卒業生で介護福祉士の坂間吉晃さん。難病に特化した訪問介護を行う中で、土居さんを2年ほど担当しました。機知に富んだ土居さんと関わった経験を、後輩たちにもぜひ体感して欲しい、そしてALSという難病をもっと知って欲しい、との思いで今回の講演会が実現。理学療法学科、作業療法学科、言語聴覚学科、歯科衛生学科、社会福祉学科、介護福祉学科の学生で会場はいっぱいになりました。 ALSとは?筋萎縮性側索硬化症(ALS)とは、手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだんやせて力がなくなっていく病気です。しかし、筋肉そのものの病気ではなく、筋肉を動かし、かつ運動をつかさどる神経(運動ニューロン)だけが障害を受けます。その結果、脳から「手足を動かせ」という命令が伝わらなくなることにより、力が弱くなり、筋肉がやせていきます。その一方で、体の感覚、視力や聴力、内臓機能などはすべて保たれることが普通です。※ 難病情報センターホームページ(2017年5月現在)から引用 講演会は、土居さんの言葉をパワーポイントで表示しながらヘルパーの方が読み上げる形で進行。中でも、「国内の患者数は約8千人ですが、ALS患者の80%は、診断後わずか3~5年しか生存できないと言われています。私のまわりでも、ここ10年で5人の知り合いが亡くなりました。」という言葉がヘルパーの方から伝えられると、学生は一気に真剣な表情になりました。・告知の難しさ・人口呼吸器装着という「生か死の選択」・ALS患者にとっての「生活の質(QOL)の低下」の意味・これからの社会福祉のあるべき姿など、語られたのはどれも直接命に関わる重要なテーマばかりです。土居さん自身の経験と思いを交えて、丁寧に、時にユーモアを交えてお話いただき、学生たちは熱心に聞き入っていました。 手も足もほとんど動かない土居さんにとって、会話のツールはこのお母様手づくりの文字盤。学生からの質問には、土居さんが文字盤を見る目の動きをヘルパーの方が捉えて回答いただきました。知的でユーモアに富んだ土居さんのひと言一言に、会場には笑いが広がりました。学生たちに様々な課題を投げかけた今回の講演会。将来医療従事者となったとき、自分に何ができるのか、そのために今何をするべきなのかをあらためて考える、貴重な機会となりました。