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【卒業生座談会】医療現場と病院経営を支える、注目の2職種が語り合う。

救急・臨床工学分野

実施日:2012年11月10日(土)
会場:大阪医専 総合校舎

今、病院内でその存在感がますます高まっている職種があります。
臨床工学技士と診療情報管理士です。
医療機器のスペシャリストである臨床工学技士は、医療の安全を担うとともに、医療の高度化を推進するうえでも不可欠な存在。診療情報管理士はその名の通り、診療におけるすべての情報の収集から管理・活用までに携わる病院経営の要とも言える職種です。
医療の最前線で活躍中の臨床工学学科と診療情報管理学科の卒業生が母校を訪問し、教官とともに語り合いました。

出席者

チーム医療を実践する、大阪医専だからできた学びがある。

福井今回の座談会は臨床工学学科と診療情報管理学科の卒業生の方々にお集り頂きました。まずは学生時代の思い出などを振り返っていただきましょうか。

輪ノ内働き出した今、先生にとても感謝していることがあります。医専の授業では先生方の現場体験談を聞かせていただくことがよくあったのですが、その中で「患者さんを自分の家族と思ってかかわる」と福井先生が言われました。まだ入職1年目で焦ることもありますが、そんなときこの言葉を思い出すようにしているんです。

町田私にも印象に残っている先生の言葉があります。臨床工学技士はかたちの上では機械を操作する仕事ですけど、「機械の向こう側には患者さんがいる」と言われたことです。我々の職責である機械の保守・管理は、患者さんの命に直結することを自覚させていただきました。

上垣内僕が大阪医専でよかったと思う点は、医療事務系だけの学校ではない総合学校で学べたことです。診療情報管理士の資格には医学の知識が多く必要であり、基礎から専門分野にいたるまで、充実した授業が学べ、また大阪医専のように他職種を目指す学生も多く学んでいることは、今の仕事にも活かされています。我々の仕事は医師や看護師とのコミュニケーションとチーム医療が柱です。医学の知識があれば非常に役立ちます。

山本私は大阪医専に夜間部があったので、入学して学ぶことができました。夜間部があって本当によかったと思います。クラスのメンバーは皆モチベーションも高かった。

上垣内その点は僕も同じ。以前、大手企業に勤務していたのですが、医専の夜間部がなければこの世界には入っていませんから。昼間に働くこともできるし、学費も昼間部に比べて安いので経済的にも通いやすかったですね。

松下本学は近畿圏では類を見ない学科数の夜間部があり、昼間に何らかの仕事に従事している学生も多いです。働きながら一生懸命勉強して、資格取得を目指しているので、やはりモチベーションは高いと感じます。それが自然とクラスの雰囲気にも出ていますね。

輪ノ内僕は昼間部で学びましたが、夜に働いて学費を稼ぐという生活を4年間続けました。お陰で鍛えられましたよ。今の仕事もかなり忙しいですけど、多少の残業は何とも思いません。学費の件でも学校に感謝していることがあるんです。最終年次の学費から50万円が免除される卒業生会による「i(アイ)の会奨学金」をいただきまして。本当に助かりました!

福井輪ノ内くんは学生時代ハードなスケジュールをこなしていましたが、勉強はしっかりしていたよ。

輪ノ内その点では(3年制ではなく)4年制学科を選んでよかったと思います。最終年次に国家試験対策のようなかたちで特別に詰め込まなくても、普通に授業を受けていれば問題ありませんでした。

山本1つ学年が先輩だった上垣内さんにも在学中、同じことを言われました。「試験対策は普段の授業をきちんとやっておけば大丈夫だよ!」と励ましてもらっていました。

上垣内学校が提供してくれるカリキュラムを普通にきちんとこなしていれば大丈夫なんですけど、勉強の時間が限られてくる夜間部の場合、最後は励ましの部分が大事になってくると思っていたので、先輩として助言していました。

福井試験対策では、池間さんは苦労してたなあ(笑)。

池間100問テストのときはかなり頑張りました。夜間部でも先生方の手厚いフォローで、弱点の克服と長所の強化を同時にできたと思います。

森藤僕は学生時代にもっと勉強しておけばよかったと反省しています(笑)。その反省を踏まえて、卒業した年に医療情報技師という資格を取得するなど、就職してからも頑張って勉強しました。卒業してからも質問があるとき、よく松下先生に電話をしました。勤務が終わってからの夜の時間帯なのに、ありがとうございました。

松下本当、よく電話をしてきた(笑)。卒業生を応援するのは当然ですよね。卒業後も一生懸命頑張っているのがわかるので、とてもうれしく思いました。

福井就職して現場を見ると、勉強しなきゃいけないという意識が出てくるでしょう。その気持ちを持ち続けてほしい。

松下1年目はやっぱり大変。2年、3年~5年となって色々経験を積んで、本当のことが身についてくるものです。

福井ただし10年経ったら「知らないことはない」と言えるくらいの状況になってくださいよ。周囲の期待があるからね。

将来性を考えても魅力ある、臨床工学技士と診療情報管理士。

福井臨床工学技士も診療情報管理士も、病院の運営に欠かせない重要な役割を担っていますが、まだまだ知名度の高い職種とは言いがたい。看護職で医療現場に従事した後に、僕が臨床工学技士の資格を取ったのは約20年前ですけど、当時はマイナーどころか無名に近い存在でした。皆さんが仕事を選んだきっかけは何でしたか。

輪ノ内僕は姉が看護師だったことから医療関係の仕事に関心を持ったのが始まりです。最初から臨床工学技士の仕事内容を知っていたわけではありませんでした。

町田実は私、初めは何となく看護師志望だったんです。医専の学校見学のときに入学相談室の方に「臨床工学技士も結構向いていると思うよ」ということになって、結局、臨床工学学科に入学しちゃった(笑)。働いてみた実感として、医師や看護師の領域にも関与するし、自分の興味ある領域でも活躍できるし、断然、臨床工学技士のほうが自分に向いています。本当にやりがいのある仕事です。

福井僕も看護職から転身して、臨床工学技士になって本当によかったとずっと思っている。

山本私は病院で働きたいという希望が最初にあって、医専の入学相談室の方から診療情報管理士のことを説明してもらい、初めて知りました。診療情報管理士の資格を取れる他校も見学してみたのですが、学習環境は医専がいちばんでした。

森藤僕はもともとコンピュータが好きだったので診療情報管理士の仕事に興味を持ちました。入口はコンピュータだけど、最終的には診療情報管理士の将来性に惹かれました。

福井どの辺に将来性を感じましたか。

森藤今、厚生労働省がたびたび医療政策を変えてきていますので、病院経営者はそれに対応するだけでも大変なんです。そこで診療情報管理士が密接にかかわり、資料の作成などを通じて経営者をサポートする必要があります。時代の流れ、ニーズにあった仕事だと思います。

輪ノ内重要なサポート役という点では、臨床工学技士も同じです。病院内には医療機器がたくさんありますけど、機械について知っているのは僕たち臨床工学技士だけ。医師が「こういうオペをしたいんだけどなあ」などと困っているときに知識を提供できる仕事です。臨床工学技士とは病院のいわば“お助けマン”で、僕自身そうありたいと願っています。

福井たとえばカテ室(心臓カテーテル室)勤務の臨床工学技士は内科だけではなく外科や脳外科といった色んな部署からオーダーが来ますので、圧倒的に臨床工学技士のほうが件数的には多く経験する。だから医師より手順を知っているわけです。そこで天狗になって道を踏み外す臨床工学技士もいるので困ったものです。気をつけてもらいたいですね。

輪ノ内そこは僕も非常に気をつけている部分です。医師や看護師に対して、「教えてやる」的な態度になっては絶対にだめだと思います。

池間私もオペ室、カテ室など色んな部署に顔を出しますけど、どこへ行ってもいちばん機械に強いのが臨床工学技士で、特にトラブルのときに頼りにされます。トラブルの解消は臨床工学技士にしかできないという使命感をもって頑張ります。

町田私たちは最後の砦。ICUなどで命の瀬戸際にいる患者さんに対して、医師も看護師も全力を尽くしている。医師は救命に必死だし、看護師は輸液の準備などで手が離せない。そんな状況で仮にトラブルが起きた時、誰が冷静でいないといけないか。誰がトラブルをいち早く解決しなければいけないか。臨床工学技士はそんな命の瀬戸際を守る仕事でもあります。

福井皆さん就業の動機は様々ですが、とても高い職業意識を持っておられることに感心します。診療情報管理士の将来性に触れていただきましたが、機械を扱う臨床工学技士も医療の高度化を担う将来性豊かな仕事です。これは2職種の共通点ですね。

「チーム医療」の質的向上のために、この2職種がさらなる連携を図る。

松下診療情報管理士と臨床工学技士との接点ですが、どの病院でも収入源は診療報酬ですから、臨床工学技士さんも自分のしていることがどこまで診療報酬(点数)になるのかを知りたいはずです。

町田はい。診療報酬についてわからないときは、こちらから診療情報管理士さんに相談に出向くこともあります。

山本そうやって聞いてくださる臨床工学技士さんはありがたいですね。私たちに相談してほしかったというケースも結構あるんです。

輪ノ内医師と治療について打ち合わせしていて「この場合、保険点数はどうなる?」と尋ねられることもありますから、我々、臨床工学技士もある程度知っておかなければなりません。

上垣内診療情報管理士も臨床工学技士さんが興味をもってくださる情報が何かということについては常に考えるようにしています。「こういう方法がありますよ」と保険請求の情報を発信することが、病院経営の安定(収入増加)にもつながっていく。僕らの踏ん張りどころです。

池間最善の医療を提供することとコスト管理の両立が欠かせない中、診療情報管理士に質問したいことはたくさんあります。診療情報管理士さんと面識があると、よりコミュニケーションしやすくなりますから、管理室にはぜひ正規職員の方にいていただきたい。パートタイムの方だと、どうしてもかかわりが薄くなります。

山本単に診療情報管理士の数が足りないと言っても病院経営者は動いてくれませんから、その事実をきちんとデータで示すことが大事になります。データの示し方というのは診療情報管理士業務にとって極めて重要です。先日、がん登録の勉強会に参加したときに聞いたのですが、同じがん登録のデータでも医師が求めるのは患者さんの5年生存率のデータ、経営者は近隣病院の治療実績など。相手が何のためにデータを必要としているのかをしっかりと理解した上で、提示内容を変える重要性を教わりました。

森藤今、僕が取り組んでいる仕事もデータの見せ方の問題を扱っています。臨床評価指標と言いまして、病院の質を様々な指標で数値化していく取り組みがあり、現在では多くの病院が実施しています。勤務先でも診療実績などのデータを患者さんや他の病院に公開しています。グラフ化するなどして、よりわかりやすく、より価値のあるデータを作成することで、患者さんに選んでいただける病院にしたいですね。

山本見せる相手がどんな立場の人であるかを踏まえ、データの「切り口」を考える。それも診療情報管理士に求められていることです。

上垣内また、大前提として日々のコミュニケーションを通して院内での信頼関係を築くことが何より重要です。医師や看護師らの質問に対して的確かつ迅速に答えられるかどうか。その意味で先ほども言いましたが、医専で学んだ医学の知識などが意味を持ってきます。院内の信頼関係がなければ、診療情報管理士は仕事になりません。

福井「チーム医療」は人間同士の連帯ですから信頼関係は軸ですね。臨床工学技士と診療情報管理士が他の部署から厚い信頼を得ることで「チーム医療」の質はもっと向上するのではないかと感じます。最後になりますが、今日の皆さんの話を聞いて、一生懸命仕事に励んでおられることがよく伝わってきました。これからも、もっともっと研鑽を積んで知識・技術を高めていってほしいと思います。今日はどうもありがとう。いい話でした。