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【卒業生座談会】福祉の仕事を通して感じる、人間の深い魅力。

福祉分野

実施日:2013年1月19日(土)
会場:大阪医専 総合校舎

本学で養成する福祉系の2職種、介護福祉士と精神保健福祉士。
ともに高齢者・障害者の生活を支える仕事ですが、現場に出た卒業生は、むしろ利用者さんや患者さんに自分たちが支えられてる点を強調します。
そのあたりに福祉職の魅力が隠されているのかもしれません。
今回の座談会では福祉施設、医療機関、行政の分野で活躍する卒業生が、教官と語り合いました。

出席者

多彩な領域で活躍する福祉専門職。

澤井今回は現場で活躍する介護福祉士と精神保健福祉士の卒業生に集まっていただきました。同じ福祉という領域でも、皆さんの活躍分野は多彩ですね。

上田僕の仕事は精神障害をもつ方々に対する支援と指導です。日中活動の場を提供したり悩みを聞いたり、仕事の中身は様々ですけど、大きな目標としては就労支援ということになります。

古川認知症医療に特化した病院に勤務しています。相談員として一般的な入院相談に対応するほか、病棟内で回復訓練をお手伝いするなど、色んな業務に従事しています。

澤井介護福祉士との連携も必要な職場ですよね。

古川一緒に働いています。高齢者施設で対応が難しくなった認知症の方についての入院相談を受けるケースもあります。

金田僕は保護観察官といいまして、罪を犯した人が再び犯罪に手を染めないような援助などを行う職務に就いています。就労の支援をしたり、福祉への橋渡しをしたり、再犯を防ぐ環境をつくるのが主な役割です。

澤井精神保健福祉士の資格を直接活かす仕事ではないのかな?

金田そうです。ただし、精神保健福祉士の資格をもっていたから採用されたのであって、まったく関係ないわけではありません。

植島私は介護福祉学科(現 介護福祉・保育学科)を卒業後、施設ではなく、障害者の在宅サービスや訪問介護サービスなどを行う会社に勤務しています。教育を担当しており、訪問介護従事者の講座などを受け持っています。

前田老人ホームで介護福祉士をしています。食事や入浴、排泄といった利用者さんの日常生活のお世話をする仕事です。

村上僕も前田さんと仕事内容は同じです。昨今はニーズが多様化し、日々の生活の質の向上に加えて、その人らしい最期の実現も大きなテーマです。ご家族の要望も大切にしつつ、その人らしい最期を迎えていただく。難しい課題ですが、そのことにも貢献していきたいと思っています。

会社勤務から一念発起して、大阪医専へ。

澤井介護福祉士の村上さんがおっしゃった通り、利用者さんが最期を迎えるにあたって、ご本人ともご家族とも対話をする。そうした人の心に向き合う面では、我々精神保健福祉士の領域とも重なる部分があります。皆さん多彩な職域で頑張っておられますが、本学へ入学するまでの経緯も多彩ですね。

古川私は前職が土日の出勤も度々で、ものすごく忙しくて、つぶれそうになっていました。もっと違う働き方があるんじゃないかと悩んでいたときに、精神保健福祉士の資格を知り、一念発起して大阪医専に入学しました。

上田僕も同じような状況でした。非常にハードな業界におりまして、同僚たちがつぶれていく姿を目の当たりにしてきたんです。自分も気持ちが折れそうになっていたところ、精神保健福祉士という道があることを知りました。

金田僕もサラリーマンからの転身組です。勇気が要りましたけど、夜間部があったので決断できました。

村上僕は昼間部に通っていました。スパっと仕事を辞めて勉強に専念しようと30歳を目前にしての決断でした。それを許してくれた家族に感謝しています。

古川私も昼間部でした。昼間部でも世代は幅広くて、クラスには大学を卒業したばかりの人から50歳代までの学生が在籍していました。

植島私が大阪医専に入学したのは、48歳のときでした。

澤井精神保健福祉学科には植島さんより年上の方々、50歳代、60歳代の方も入学していますよ。第2の人生のために資格を取りたいと。何歳からでも学べるんです。

近藤その通りで、介護福祉・保育学科にも現在40歳代の学生がいます。

上田社会人を経て入学することに、むしろ意義があると思います。社会人経験を通じて得た様々な引き出しは、勉強をするうえでも、仕事をするうえでも役立つのではないでしょうか。特に対人援助という仕事では。

村上その通りですね。社会に出ると対人関係が鍛えられますから。一方で高校を卒業したばかりの若い学生と接していると、まだ意識が甘いなあと感じたことも(笑)。

近藤ところが入学して1年を過ぎると、皆すごく成長する!実習で人生の何十年も先輩である利用者さんと関わるということは、その方の人生の重みを感じる機会でもあります。背伸びしながらでも利用者さんと関わることで福祉の資質が開花していく。福祉を学ぶことで、人間としての成長が得られるんです。

利用者さんや患者さんに学ぶ仕事。

植島同時に、福祉は人間の魅力や可能性に気づかせてくれるものだと思います。全く福祉を知らないときは、重度の障害者といえば大変な状況を抱えた人というイメージしかありませんでした。それがよくよく接してみると、とても頭のいい人も、立派な考えをもった人もいらっしゃいます。すごい人たちだと実感しました。そこでもっと福祉を学んでみたいと思ったのが、大阪医専に入った動機なんです。

澤井精神科でも同じことが言えます。この世界を知らない人からすると怖いという思い込みがあって、知人からもよく「精神科の患者さんは大変そうだね」と言われますが、「普通に接しているよ」と説明するんですけどね。

植島ええ、我々と同じ、あるいは我々以上のことができる人たちではないでしょうか。

近藤外からは支援する側とされる側にみえるかもしれません。私たちがその人の人生を支えているようで、実は利用者さんが我々のいい部分を引き出してくださっているのが真実ではないでしょうか。介護福祉士には、それを違う利用者さんにお渡ししていく役割があるはず。その役割を感じ始めると、この仕事はやめられなくなりますよ。

古川認知症の患者さんも、むしろこちらをやさしい気持ちにしてくださるんです。授業で聞いた話ですけど、「高齢者にはたくさんのしわがある。そのしわ一本一本に敬意を払いなさい」と。そのときはピンとこなかったのですが、働きだしてからそれが腑に落ちました。

前田利用者さんの魅力はこの仕事を続ける力になりますね。たとえば、ほんのちょっとしたことでも「ありがとう」と言ってくださる。それが力に変わるんです。

澤井金田くんは対象者が施設の利用者さんや患者さんではありませんから、状況は違うのでしょうね。

金田残念ながら高齢者や障害者で罪を繰り返して服役する人が増えています。年齢を重ねたからといって犯罪は止まないんです。そういう人たちの共通点は、色々な福祉制度があるはずなのに、福祉との出合いがない人生を歩んできていることです。保護観察官としては、ただ監視するだけではなく、いかに就労支援や福祉につなげていくかが大事です。実際、福祉につなぐことができた人に「この状態が続けば犯罪には走らないと思う」と言われたがあります。

近藤金田さんのような福祉職が、保護観察所など法務省関連の領域まで活躍の場が広がったのは最近のことですよね。

金田国の機関でも職員だけではなく、専門家との連携を重視し始めています。精神保健福祉士でも介護福祉士でも、今後、国の機関で働く機会が増えていくと思います。

専門性も幅広さも追究できた大阪医専の学び。

澤井学生時代のことをもう少し振り返ってみましょうか。古川さんは精神保健福祉学科の昼間部でしたから、1年間で国家試験対策、実習、就職活動のすべてを学びましたね。国家試験対策は、これでもかというくらいやる学校なので、大変だったのでは?

古川試験対策に関しては、先生を信じていました。短期間でもキャンパスライフは充実していました。クラスは担任制で日直もあるし、まるで高校生に戻ったようで(笑)。楽しい1年間でした。

上田夜間部も密度の濃い学生生活でした。昼間は精神保健福祉関連の施設でアルバイトもできますから。

澤井昼間に就業体験をして、夜に授業を受ける。精神保健福祉学科の夜間部の学生は大概このパターンだからね。

上田僕は学生時代のアルバイト先にそのまま就職しました。

前田そのように専門性を深められることはもちろん、コ・メディカルの総合校の利点として視点の幅広さがあります。福祉だけでなく医療・医学を専門とする先生の授業もあって、たとえば救急救命学科の先生が身近にある物干し竿とシーツで担架のつくり方を教えてくれたり、作業療法学科の先生から介護の現場でレクリエーションに活用できる陶芸を学んだりなど、大阪医専でしか得られないものがありました。

澤井大阪医専にはチーム医療という切り口があり、表面上この福祉系学科はその関わりが少ないようにみえますが、実はそうじゃない。総合校という環境で、様々な学科の教官から学ぶことで、自然とチーム医療の思想が入っているはずだね。

近藤そう。先ほどの例で言えば、救急救命と福祉はかけ離れているように思われますが、実際にはつながりがある。その視点から学べるのは大阪医専の特権です。

村上在学中には一般の卒業研究にあたる事例研究がありました。僕はそれが印象深いですね。現場に出て、介護計画を立て、その成果を論文にまとめて発表する。何度も先生から却下されました。

近藤全部やり直し、とかね(笑)。

村上あれはこたえました。

近藤なぜ研究活動にも力を入れるかといえば、これからの介護福祉士には科学的な観点が必要だから。経験やコツではなく、自分のしている介護を科学的に分析する能力が欠かせません。

植島近藤先生の言われる通り、現場では科学的な視点が大切になっています。たとえば、介護従事者はボディメカニクスについて知らなければなりませんが、前屈みになるという現象面のみを捉えるのではなく、なぜ前屈みなのかを科学的に説明できなければなりません。

村上あの事例研究の経験のおかげで、仕事で疑問に感じたことを自分で調べる意識が根付いています。

近藤正しいことも、正しくないことも、その根拠を把握して、分析するという意識がね。

村上はい。在学中、あれだけ先生から「根拠、根拠」と言われ続けたら、それはもう。

一同笑い

澤井学んだことが身にしみているようですね。これからも、それぞれの職場で学生時代に学んだことをいっそう深めて、頑張ってほしいと思います。今日は忙しいなか、皆さん集まってくれてありがとうございました。