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【卒業生座談会】リハビリテーション3職種が語る~医療の領域はない~

リハビリ分野

実施日:2012年2月5日(日)
会場:大阪医専 総合校舎

2012 年2 月5 日に実施された大阪医専の体験入学。
当日は日曜日にもかかわらず、卒業生も多く来校してくれました。
体験入学終了後に、リハビリテーションの3つの専門職、理学療法士(Physical Therapist=以下:PT)、作業療法士(Occupational Therapist=以下:OT)、言語聴覚士(Speech Therapist=以下:ST)として勤務する卒業生6名が集まり座談会を開催。本校が力を入れる「チーム医療」の必要性などについて、現場での体験を交えて語り合いました。

出席者

相互に関連する、リハビリテーション3職種。

梶原今日は理学療法学科、作業療法学科、言語聴覚学科の卒業生の皆さんに集まっていただきました。それぞれ専門の立場をもっておられますが、治療となると、この3職種が協力し合うことが大切だと思います。その点、皆さんの現場ではいかがでしょうか。

横山僕の勤務先ではPT、OT、ST の控え室が同じで、この3職種が毎日情報を共有しています。たとえば、「あの患者さん、今日はこれができたよ」など。各科の見学も盛んにしていますので、非常に勉強になっています。

山口 それはいい環境ですね。私もST さんの嚥下(飲んだり食べたりすること。この機能が衰えた患者に対して言語聴覚士がリハビリテーションを受け持つ)の現場を見て勉強したいと思っています。

横山頸部の緊張度が高いと嚥下もうまく行きません。うちの病院では、状態を見て緊張があると感じたらPT さんにすぐ相談できます。

志賀我々ST にもPT、OT の知識は必須だと感じます。机上課題では軽度だと思っていたら、PT さんとかかわる場面では問題があったり。何よりも患者さんが日常生活でどんな風に困っているかを知らなければいけないわけで、その点からも3職種の協力は欠かせないですね。

横山逆もあって、机の上で問題が見えても、日常生活には支障がないケースもあるんですよ。それは1つの視点だけではわからないですね。

宮地3職種は絶対につながっています。PT は脚をみて、OT はADL(日常生活における動作)で、といった先入観だけはもつべきじゃないですね。そのためにも、お互いの仕事内容を知っておくべきです。

山口 3職種の連携もそうですが、私の場合、院内ADL などの場面で看護師さんに助けられることも多いです。

四宮うちの病院のST さんはすごい人で、評価内容などはすごく参考になります。

横山ベテランのST さんは国家資格が制度化される以前の方ですから、現場で鍛えられています。その方々にはきっと領域なんか関係ないんですよ。

山本学生のときは、なかなかイメージしにくかったけど、実際に就職すると連携の重要性や、3職種が領域できれいにわかれているわけではないことが実感できるようになります。

横山ええ。患者さんには領域がないということがね。

他学科や夜間部の学生にも刺激された。

梶原皆さんも在学中、チーム医療を勉強されたわけですが、授業の内容もどんどん進化させているんですよ。現在の「チーム医療症例演習」は各学科の学生を1つのグループに編成して、そこに教官も入る。ある症例を与え、2週間かけていろんな職種を目指す学生がそれぞれの視点で対応を考えていきます。

山本僕は決してよく勉強する学生ではなかったですけど、あの授業は気持ちが入りました。同じ学科の学生同士だと慣れがあっていつも通りの感じで進んだかも知れませんが、他学科と一緒に学ぶと緊張感も出る。症例を渡されたときは、この症例と真剣に向き合おうと思いましたね。

横山実際に患者さんとかかわっている今、その授業の意義はよく理解できます。

宮地そう。学生の間はなかなかわからないもので。

梶原学生時代にもっと積極的に勉強しておけばよかったという反省は誰にでもある。僕だってそうですよ(笑)。

四宮学生時代の反省は、もっと他学科の学生と交流しておけばよかったということです。せっかく同じ建物に多くの学科がある環境なのに。

志賀私はもっとPT のことを勉強しておけばよかったと思います。ST は患者さんに触ることが苦手なんです。構音障害や嚥下では姿勢が重要ですが、高齢の患者さんに触れるのは技術がないと怖いですから。

横山夜に図書室で勉強していると夜間部の方と知り合えるんで、実習の情報交換などをさせてもらったのですが、勉強にかけるモチベーションがとても高くて、すごく刺激を受けました。

四宮私なんかはキャンパスライフも楽しみたい気持ちもありましたから。その点、夜間の学生さんの勉強にかける熱意はすごいなと思っていました(笑)。

山口高校を卒業してすぐに入学したら19 歳でしょう。キャンパスライフを楽しみたいと思って当然ですよね。

梶原たくさんの学科があったことはどう振り返りますか。十分に他学科の知識を習得できたかは別として、何らかの“気づき”はあったのではないでしょうか。単科の学校では、他の職種を意識するきっかけすらないかも知れないわけで。

山口医専にはPT、OT、ST 以外に看護や臨床工学、福祉などもあって、大学でもこれだけ多くの学科をそろえたところは聞いたことがありません。図書室には全学科に関連する文献がありますから、それだけでもメリットです。

四宮図書は充実していますよね。看護系の雑誌はよく目を通していました。

志賀いろんな学科があってよかったのは、「チーム医療」の授業が、他学科の先生を知る機会にもなったことです。その後、他学科の先生のところへ質問に行けるようになるんです。私は質問魔でしたから(笑)。でも嫌な顔一つせずに答えてくれましたけど。

横山僕も質問に行きました。作業療法学科の学生と友達になって、姿勢について聞きたいと言ったんです。するとその先生のところへ連れて行ってくれて。

梶原教官としては質問されるのは嬉しいことですよ。僕自身もわからないことはまだまだあるし、学生と一緒に学んでいこうというスタンスです。

山本卒業生の数が多いのもいいですね。医専の先輩とは話しやすいですし。

横山うちの病院ではPT の主任が大阪医専の出身です。

山口先輩はかわいがってくれますね。「お前も医専か!」って。

四宮うちの病院にもいます。同じ医専出身という意識はもっていますね。

「人を見る」ことがチーム医療の原点

宮地今、チーム医療ということがしきりに言われていますけど、なぜ医療の現場がそれを意識するようになったのか。もともとPT、OT、ST が個別に動いていて、情報の共有が進まずに非効率だった反省があるからです。僕は老人保健施設にいますから、介護職もケアスタッフの方たちも大切なチームの一員です。そうしたスタッフ全員と、常に話しやすい雰囲気をつくっておくことを心がけています。

山口チーム医療を進めていくためには、まず自分は変わらないといけないですね。自分から問題を見つけていく姿勢がないと、PT さんにもST さんにも質問ができないですから。

宮地在学時に先生からよく言われたことで、ずっと印象に残っているのは「人を見なさい」という言葉です。結局、チーム医療とは「人を見る」。このことに尽きるのではないでしょうか。

四宮その通りですね。リハビリテーションのスタッフは患者さんの24 時間のうち1 時間程度しかかかわらない。それが医師や看護師などいろんな職種が一体となることで、患者さんの24 時間になっていく。

山口人を見ることももちろんですが、私たちOT は「生活を見る」ことが重要です。生活の場面で何ができるかを考える。退院される前に患者さんの自宅を見に行くのですが、段差の問題や胃ろう(食事で栄養を摂取できない人にチューブを通して水分・栄養を流入させる措置)をつけている方の動作の問題など、PT さんの協力を受けながら個別に検討しなければなりません。

四宮横山さんがおられる病院のように、各科が見学できる環境だと問題も見えやすいのかなと思いますが。

横山3職種が同じ控え室にいることで、何がわかるか。実はお互いのことがわかっていない、ということがわかるんです。PT さん同士の打ち合わせを横で聞いていても、内容が理解できないことも多い。相互理解といっても、それが簡単でないことも事実だと思います。

決して一人ではなれない「誰かの太陽」。

梶原今日は体験入学の日で、医療の世界を志す人たちが来校しています。そうした未来の医療人に何かひと言ありますか。

志賀原点を忘れないことでしょうか。私がST を目指したのは、小児とかかわれる仕事だという理由でした。現在は結果的に成人をみさせてもらっていますが、今、与えられたことを頑張ろうという気持ちを大切にしています。原点を忘れなければ、おのずと道はついてくるはずです。

宮地在学中、先生から口を酸っぱくして言われたのが「本質を見極めなさい」ということです。皆さんは医療機関で、僕は老人保健施設の勤務ですが、どこで働いても「人を見る」という本質は同じ。医専で学んだことは、ずっと活きています。

四宮医療職って実は詳しく知られてないのでは、と思います。医専には様々な学科があって、いろんな先生がいるので、入学前にそれぞれの職種のなかみを知っていただきたいですね。それと入学したら、ぜひ友達をたくさんつくってほしいです。

山本目的意識をしっかりもって入学した人でさえも、壁に突き当たることはあります。しんどいことも多い。でも人から直接感謝される仕事なんて、そうありませんよ。医療は素晴らしい仕事です。

山口私もそう思います。誰かのためにということは原点ですが、実はそれが自分にも返ってくる仕事なんです。「ありがとう。あなたでよかったよ」と患者さんに言っていただけると、ほんとうに嬉しいですね。

横山「誰かの太陽になる仕事」という学校のスローガン。当初はいい言葉だな位に思っていたのですが、今はこの言葉の重みを実感しています。患者さんは受けたくて治療を受けているわけではない。自分一人では「太陽」になんかなれません。「誰かの太陽」は、皆でなるものだと。