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医療・福祉の資格を取得し、活躍する女性たち。結婚・出産後も仕事を続けていきたい。

救急・臨床工学分野

医療・福祉の世界で活躍するOGたち。

女性が資格を取得するメリットは?医療・福祉の仕事で女性ならではの能力が発揮できる場面は?

教官とともに、女性目線で語り合いました。

上段左から診療情報管理士・前本さん、精神保健福祉士・田嶋さん、田原教官、視能訓練士・和田さん、晋山教官
下段左から松下教官、臨床工学技士・仲松さん、言語聴覚士・宮崎さん、作業療法士・粕本さん


女性である私たちが
医療・福祉の資格取得を目指した理由

松下教官今日は「働く女性」というテーマで、女性の卒業生の方々に集まっていただきました。皆さんの共通点は「資格」を持って活躍されていることです。本校に入学の段階から女性にとって資格が大きな意味を持つという意識はありましたか。

粕本私は以前、外食チェーンの店長を務めていまして、休みは月に1~2回程度、業績が悪ければ降格もあるという厳しい職場でした。何とか状況を変えたいと考えたとき、やはり資格を取ることが有効ではないかと。それで仕事を辞めて大阪医専に入学しました。

宮崎私は母から「あんたは資格を取りなさい、取りなさい」とずっと刷り込まれていました(笑)。母は自分が職探しに苦労した経験から、私には資格を持って専門職に就いてほしいと思っていたのです。

前本私も親から「手に職をつけなさい」と言われてきました。大学進学も考えたのですが、手に職をつけるなら専門学校が有利ではないかと。最初は医療事務志望だったのですが、より幅広く仕事をするためには診療情報管理士の資格を取れば強いセールスポイントになると考えました。

和田私も高校からの入学なんです。医療の資格を取って働くと決めていたので、一直線で学ぼうと。今考えると正解だったと思っています。

仲松私はデザイン系の高校に通っていて、当初は芸大へ進学して工芸を学ぶつもりでしたが、結局その道は選びませんでした。たしかに工芸は楽しい。でも将来食べていかなくてはならないし、仕事としてのイメージができなかったのです。そこで資格を持って長期的に働ける仕事を目指すようになりました。

田嶋私は資格というより精神障害者のために働きたいという意識が先にあったのですが、何年か働いているうちに、やはり国家資格は大事だなと実感するようになりましたね。

突然の事態でも、
資格が即効性を持って自分を救ってくれた

晋山教官何と言っても日本は資格社会。肩書きは大きな意味を持ちます。

田原教官結婚、出産を想定する女性にとって、資格は重要です。私は大学卒業後、養成機関に通って資格を取ったのですが、学校へ行くのに親を説得する必要がありました。そのとき「資格があれば将来、旦那が死んでも食べていける!」と言って説き伏せたのです。

一同笑い

晋山教官今日この話をするかどうか迷ったんですけど……私、離婚を経験しているんです。突然、フルタイムで働かなければ生きていけない状況になって。でも、その直前に言語聴覚士の資格を取っていたので、すぐに働くことができました。資格が即効性を持って私を救ってくれたわけです。もちろん仕事は人のためにするのですけど、資格は自分も助けてくれるもの。皆さんには(離婚が)ないことを祈っていますね(笑)。

女性ならではの視点が
社会に役立つこと

田原教官私と和田さんの視能訓練士は、もともと女性だけの養成機関しかなかった経緯もあって、女性の比率が高い職業です。子供を対象とすることが多い仕事ですから、女性に適していると言えます。

晋山教官言語聴覚士も女性が多い職業です。男性の言語聴覚士も増えてきてはいますが、現在でも半数以上が女性です。宮崎さん、なぜだと思う?

宮崎コミュニケーションの面で女性に適しているからでしょうか?

晋山教官私もそう思っています。おしゃべりから始まる仕事ですから。コミュニケーションは人間の根源的な本能であって、女性のほうがそこに敏感なのではないでしょうか。

宮崎現場では、「若い女の先生を」と希望される患者さんは少なくありません。それと私が一番若いということもあるのでしょうが、職場内での看護師とのコミュニケーションも私に期待されている部分だと思います。

仲松それは私もまったく同じです。臨床工学技士は男性社会で、私が勤務する透析室の技士7名のうち女性は私を含め2名だけです。そこで私たちが果たす役割が部内のコミュニケーションです。女性のほうが看護師と踏み込んだ会話ができますよね。そこで看護師しか知り得ない患者さんの背景などを聞いて、それをうまく伝える。そういう架け橋にはなれているのではないかと思います。

前本それとお願いごとも女性の仕事ですよね。医師への依頼、やりとりはいつも私の役目です。

松下教官診療情報管理士は患者さんと直接話す機会は少ないですが、院内での他職種とのコミュニケーションは非常に重要な仕事です。その点では女性の感性や視点が生かせますね。

前本私は日々、こまめに話しかけるようにしています。結構話し好きの医師もおられますので。

松下教官それ大事よ。そうすることで医師の性格や求めていることがわかり、先生のかゆいところに手が届くようなフォローができるようになってくるからね。

粕本これも女性の視点が生きた事例だと思いますが、作業療法に手芸を取り入れたら女性の患者さんに大変興味を持っていただけました。嬉しかったですね。それと退院を控えた方と料理に取り組んだこともあります。男性の方で自炊をしたことがないというので、リハビリを兼ねて「一度ごはんをつくってみましょうか」と。まあ、手芸も料理も女性にしかできないということではありませんが。

松下教官診療情報管理士は、統計データなどの数字をみる仕事でもあるのですが、数字を読み取る視点にも男性と女性それぞれのものがあります。その観点のバランスが大事だと思います。

田嶋私の仕事でも女性が必要とされる局面があります。私は市役所の福祉部におりまして、最初は生活保護のケースワーカーを務め、現在は児童虐待の対応をしています。この仕事はお母さんやお子さんと話すことが多くなります。お母さんが女性特有の悩みを話すうえで、男性には話しづらいということで、女性のワーカーに来てほしいと要望されたケースもありましたので。

晋山教官あと女性にしかないものとして、母親の視点がありますね。私は子供をメインに訓練していて、その際母親の立場に近い言語聴覚士には心を許してくれる時間が早い。お母さんともわかり合いやすいです。

資格があれば
結婚、出産を経てもずっと続けられる

田原教官本校に入学してくる女性は、皆さんもそうだったように、結婚や出産を経ても続けられる仕事を目指しておられる方が多いと思います。私としてもそれを応援したいし、多くの後輩を育てたいという気持ちで日々学生と接しています。

松下教官私は一度専業主婦をしています。それもやりがいがあるのですが、いずれ子供も手がかからなくなりますし、長い老後をどうしていくかと考えると、やっぱり仕事を持ちたい。経済的にもプラスになりますから。そうなると、結婚前に資格を取って、出産を経てからでも復帰できる仕事は、女性の長期的なキャリアを描きやすくなりますね。

粕本先ほども言いましたが、私は会社勤めを経験していますけど、退職したらそこでキャリアが終わってしまいます。その点、医療の専門職なら産休の後でも復帰できると思います。

前本私もずっと仕事を続けていきたいと思っています。病院は雇用の安定性からみてもいい職場ではないでしょうか。

粕本私はまだ2年目。知識・経験がまだまだ足りないことを痛感しています。ともかく勉強するべきことが多い仕事。これからも続けていかないことには、作業療法士として成長できませんし、患者さんとの信頼関係も生まれません。

宮崎私も課題だらけです。今はもっと勉強して患者さんから満足してもらえるリハビリができるようになること。まずはこれを目標にしていきたいです。

田嶋私もよりきめ細かい市民サービスができるようになるためにも、ずっと仕事を続けていきたいと思っています。

長く続けるからこそ
職業人として成長できる

晋山教官職能の観点からも長く勤めることは大切です。年功序列ではなく、現場での経験年数がモノを言う世界ですからね。

前本それと、やはり仕事そのものが楽しくないと継続はできません。私は毎日やりたい仕事ができているので、その意味でも仕事を長く続けていきたいですね。

和田その通りですね。私も視能訓練士の仕事にとてもやりがいを感じています。ぜひとも、結婚や出産の後も続けていきたいと思います。

仲松実は私、去年結婚したばかりでして。

一同おめでとうございます。

仲松ありがとうございます。ですので、子供を産んで職場に戻るという今後のキャリアについて、今まさに考えているところなんです。

田原教官皆さんには仕事をぜひ続けていってほしい。継続は力と言うように、長く続けることが自分を高めることにつながります。

晋山教官仕事というのは、結局は自分らしさを使うしかないものです。自分らしく働ける環境に出合うことが最もいい働き方だと思います。そういう職場だからこそ、出産をしても戻りたいと考えるわけです。自分らしさが出せないんだったら、逃げ出せばいいんです。資格があるんですから。資格は時間もお金もかけた結果。それを人のために利用するのが皆さんの仕事です。仕事にはキツいことが伴うのは当然ですが、できるだけ笑って楽しく働き続けてください。

松下教官働くということは「はたを楽にする」こと。女性だからこそできる仕事についての話題も出ましたが、そのように自分ができることを大切に、ときには女性であることを、自信を持ってアピールしてもいいのではないでしょうか。今回皆さんと話をしてきて、それぞれの立場、職業で日々一生懸命頑張っておられることがよく伝わってきました。
今日はどうもありがとうございました。


出席者

<卒業生>
<教官>

※卒業生会報誌「i(アイ)」16号(2013年11月発刊)掲載記事