慕われる保健師から、未来の保健師を育てる教官へ。
深堀 真希さん
大阪医専 高度看護保健学科 教官
看護保健学科(現高度看護保健学科) 2015年卒業
保健師は、 人もまちも元気にする。 そのよろこび、やりがいを 後輩たちに手渡していきたいです。
――入学のきっかけを教えてください
下の子どもが産まれてすぐ感染症にかかったとき、何もできない・わからない自分がもどかしくて、医療や看護を学びたいと切実に思ったんです。そこから看護師を志したのですが、産後の家庭訪問で保健師さんが何度も親身にフォローしてくださり、すごく安心したことも心に残っていて。看護師と保健師のWライセンスを取得できる本学に入学しました。
学んでいくうち、地域の皆さんの健康をサポートしたいと考えるようになり、卒業後は保健師に。市役所の出張所や保健センターで子育て支援や家庭訪問、高齢者向けの健康教室など、様々な経験を積むことができました。
――保健師時代、思い出に残っていることは?
母子保健の担当として自転車で地域を回っていると、顔見知りになったママたちから「保健師さーん」「深堀さーん」とよく声をかけられました。困り事や心配事が解消したと聞けば嬉しかったですし、電話相談で私を指名してくださるママもいて、やりがいは十分でした。色々なママの経験談を他のママのお悩み相談に活かすことも多く、地域のママたちのハブ的な役割も担っていたかもしれません。
出張所保健師として、自治会の集まりや住民懇談会に顔を出しながら、地域の皆さんと一緒に健康づくりのイベントを立ち上げました。住民との距離が近かったのは、当時の市長が保健師の活動に力を入れていたのも大きいと思います。ひとつの出張所に保健師を一名ずつ配属し、保健師の役割や地域での存在意義を広く発信していました。
どの仕事でも大切にしていたのは、まず相手の話に耳を傾けること。その上で専門的な観点から手段や方法を提案して選択肢の幅を広げ、どうすれば良いか一緒に考えていきました。
――なぜ、本学の教官に転身を?
コロナ禍の最中に保健師を目指す学生の実習指導も行っていたのですが、オンライン実習が増え、現場のリアルを伝えきれていないのが残念でした。もっと色々と経験させてあげたい、「保健師ってすごい仕事なんだ!」と実感してほしい。そんな気持ちが膨らんで、保健師を育てる教官に転身しました。
現在は、実習指導や公衆衛生の講義、国試対策指導などを受け持っています。思い入れの深い母校で、かわいい後輩たちと頑張っていきたい。絶対、全員合格させて、保健師の力を社会で思う存分発揮してもらいたいです。
――保健師に求められることとは?
保健師は地域の皆さんの健康を守るだけでなく、もっといい暮らし、もっといい地域に導く存在になりえると思っています。そのためにも保健師がより一層力を発揮できるよう、職場環境を整えていく必要性を感じています。
また、在学中にある先生から「公務員として働くなら『ヒト・モノ・カネ』はすごく重要だよ」と教えていただいたのですが、保健師時代、この言葉の重みを実感しました。人材をどう育成・管理するか、限られた予算の中で何ができるか、社会資源をどうつくっていくか。保健師ひとり一人も常に「ヒト・モノ・カネ」を意識することが大切。保健師としてやりたいことを実現させる過程で何度もこの言葉が頭をよぎりました。
私も学生たちにそういった生きた知識を伝えていきたい。自分自身も自己研鑽をつづけ、後輩の夢に寄りそっていきたいです。