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10年後を見据え、成長しつづける救急救命士。

救急・臨床工学分野

杉本 大地さん
藤沢市消防局 勤務
救急救命士
救急救命学科 2023年卒業

夢見た世界に立っている。
その実感が、
過酷な現場で前進できる原動力になっています。

――お仕事の内容を教えてください

藤沢市消防局の善行出張所で救急隊員を務めています。救急要請に応じて救急車で傷病者のもとへ駆けつけ、適切な救急救命処置を行うとともに迅速に医療機関へ搬送することが私の仕事です。一日7件前後、救急出動することが多く、私は主に傷病者の観察と処置を担当しています。脈拍や血圧、呼吸回数などバイタルサインの測定から、事故の場合なら止血処置や固定処置、搬送先の医療機関では医師への申し送りを行っています。

出動がない間はシミュレーション訓練などを行います。藤沢市は海が近く、水難事故もあるため、溺れたり、水辺でケガをしたりした傷病者の救急救命処置を行い、医療機関へ搬送する訓練もそのひとつ。誰がどの処置を行って、何を優先して活動するかをみんなで話しあいながら訓練を重ねています。

――大切にしていることは?

所内では私が一番の年少者で、救急業務に携わってようやく半年ほど。他の隊員と比べたら圧倒的に経験が足りませんが、救急車に乗り込む3人の隊員のうち、傷病者やそのご家族に一番長く接するのは、車内後部に搭乗する私の役目です。少しでも傷病者やご家族に安心感を感じてもらえるよう、接遇には常に力を入れています。搬送先に到着するまでの声かけであったり、バイタルサインを観察しながら他に痛みや不安なところがないか、傷病者の気持ちをくみ取っていくことであったり。搬送先の医師にしっかりと傷病者の状態を情報提供するためにも、その方を「深く知ろう」と寄り添い、きめ細やかに対処できるよう心がけています。

また、他の隊員の動きを見て、自分が次に何をすべきか考え、行動しています。これは、母校での豊富な実習や他学科を交えたチーム医療教育を受ける中で、自然と身についたことかもしれません。

――母校での学びはいかがでしたか?

実習を通して実践的に得た知識や技術が本当に役立っています。同時に、学んだことを普段からもっとしっかり振り返るべきだったという思いもあります。1分1秒を争う救急救命の現場で素早く対処し、臨機応変に対応していくには、あやふやな知識ではなく、幅広い症例や処置に関する深い理解が必要です。搬送を終えて出張所に戻る車中で先輩隊員から活動の振り返りを受けることも多いですが、時間のある学生時代にもっとひとつ一つ丁寧に振り返りを行い、知識を深めていれば、今よりもっとスムーズに活動できていたのではないか。出動件数が多く、個人的に勉強できる時間が限られているからこそ、強くそう思います。

――救急救命士が行える処置が拡大し、期待が高まっています

気管挿管もそのひとつですね。病院実習や認定を受ける必要があり、私がその実習に行けるまでには相当な時間と経験が必要ですが、救急救命士としてレベルアップしつづけたいという思いは強い。10年、20年後も救急救命の現場に立っていたいです。体力的にも精神的にも過酷な仕事であっても、思い描いていた通りのやりがいに満ちています。先輩隊員の業務ももっと手伝いができるよう、経験を積み重ねて学び、視野を広げていきたいですね。

Profile

杉本 大地さん
藤沢市消防局 勤務
救急救命士
救急救命学科 2023年卒業
厳しい部活動で鍛えた精神力と体力を活かし、体を張って誰かを守る仕事がしたいと救急救命士を目指して本学へ。卒業後は藤沢市消防局に入職。消防学校で半年間学んだのち、六会出張所で消防隊員、2024年4月より善行出張所で救急隊員として活動。