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コロナ禍のリハビリ専門職、新たな可能性

リハビリ分野

檀 信一朗さん
第二東和会病院 勤務
作業療法士
現:高度作業療法学科 2006年卒業

広く俯瞰して考えるマネジメント力と
相手の生きがいを共に見つける献身性を兼ね備えた檀さん

―今、管理職をお務めですね。

リハビリテーション科の科長として、現場運営のマネジメント、人材育成、採用活動などを行っています。作業療法士として現場にいた頃は、目の前の患者さんが良くなっていくことがやりがいでした。今は同じスキルや考え方を持った人材を育てることを通じて、その何倍もの患者さんを良くできますので、まさに人の成長が喜びになる仕事と言えます。
今後はリハビリ職員が運営側に回れるような人材育成にも努めていきます。そのため、近いうちに社会人大学院のMBA(経営学修士)課程で経営学を学びたいと考えています。

―コロナ禍での運営は大変だと思います。

感染リスクを抑えるため、入院患者さんはご家族を含めて外部との接触ができません。当院の強みは在宅に密着したリハビリテーションです。治療における重要なプロセスである在宅訪問や試験外泊による動作確認、ご家族が来院しての現場見学ができないことが、とくに影響を受けた点です。
そこで今、進めているのがタブレット端末の導入です。ご家族がタブレットで撮影したリハビリ場面を確認することで、治療の進捗を把握したり、退院の意思決定をしたりできます。接触を避けられるだけではなく、日ごとの最大のパフォーマンスをお見せでき、何度でも再生できるという対面にはない利点もあります。
コロナの濃厚接触者となった患者さんに対して、リモートでリハビリを行う取り組みも進展しつつあります。こうしたICT機器の活用はコロナ後も残していくべき仕組みだと考えています。

―地域包括ケアなど、地域社会における様々な活動に参加されています。

病院業務とは別に、大阪府の介護予防活動強化推進事業「リハビリテーション専門職同行訪問事業」に携わっています。高齢者の自立を支援する立場にあるケアマネージャーさんに我々リハビリの専門職が同行訪問し、自立支援のスキルを身につけてもらう事業です。作業療法士が持つ自立支援の技術を伝え、いずれはケアマネさんだけで課題解決ができるようになっていただくのがねらいです。

―コロナ禍が地域に与える影響はいかがですか。

今般のコロナ禍での活動自粛により生活不活発になってしまい、何の病気もしていなかった方でも生活能力がどんどん下がっていく事象が起きています。回復期のリハビリテーションは、家に帰れるようにする仕事になりがちです。しかし、入院されていた方が単に歩けるようになっただけで自宅に戻っていくのではなく、入院前と同様、ご本人にとって価値ある作業、生き甲斐となる活動ができる運動機能を付けて復帰してもらうこと。今、その重要性を痛感しています。

―なぜ地域での活動に関心をお持ちですか。

退院したら、それで終わりではないと考えるからです。残念ながらせっかく退院したのに再入院したり、結局介護が必要になったりという現状もあります。作業療法士や理学療法士の活動の場は病院だけではありません。自ら地域に出向いて活動することで、リハビリ専門職の新たな可能性を示していきたいと思っています。

Profile

 
檀 信一朗さん

第二東和会病院 勤務
作業療法士
現:高度作業療法学科 2006年卒業

卒業後、医療法人東和会に入職。現在は科長として併設の介護老人保健施設サンガピア館を含めたマネジメント業務に従事。作業療法の啓発活動や地域包括ケアに力を注ぐ。