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空手日本選手団のトレーナーとして東京五輪に帯同

東洋医学分野

飯田 拓野さん
いいだ鍼灸院/IIDA LAB 院長
トレーナー・はり師・きゅう師
アスレティックトレーナー学科 2009年卒業
鍼灸学科 2012年卒業

飾らない人柄で相手の心を軽くする飯田さん
寄り添う姿勢が選手の信頼を得ている

―お仕事の中身を教えてください。

鍼灸院を経営し、自ら診療を行っています。「出会った人を『なんとかしたい』」というコンセプトを掲げ、スポーツ選手から痛みを抱えた一般の方まで幅広く対応しています。当院は保険を適用しない自費診療で、ひとり一人に合せたオーダーメイドの施術を特色としています。鍼を使いながらトレーナーの観点も交えて施術できるのは、アスレティックトレーナー学科と鍼灸学科の両方で学んだから実現できている業態です。
鍼灸院経営のほかには、トレーナー活動に携わるとともに、高校や専門学校の非常勤講師を務めています。最近では、空手日本代表選手団のトレーナーとして東京オリンピックに帯同しました。

―東京五輪ではどんな役割を担われましたか。

最大の役割は、何といっても担当する選手にメダルを獲らせるサポートに尽きます。トレーナー業務としては、選手のコンディショニング、トレーニング後のケアなど。選手の状態を観察して、コーチと情報を共有することも大切な仕事です。コンディションを観て、練習を休ませたり、練習の強度を下げたりするといった判断もコーチとともに行います。

―コロナ禍での五輪。大変ではなかったですか。

開催か延期か、どうなるのかわからない期間が続いたときは、気持ちが落ち着きませんでした。結局、延期が決まったとき、故障を抱えた選手に対しては、この1年間をうまく利用するように呼びかけていました。
大会期間中、コロナが気にならないわけではなかったのですが、選手には何も言いませんでした。神経質になり過ぎると、かえってストレスを与えてしまうからです。だから意識的に、普段通りのかかわりを心掛けていました。
行動制限、移動制限のあった大会でしたが、制限の中でいかに良い準備をするか。この点を大切にしていました。

―東京五輪で印象に残っていることは何ですか。

会場、選手村ともに数多くのボランティアの方々が活躍しておられたことです。五輪に限らず、どんな大会もこのような方々の支えがあって成り立っていることを改めて実感し、本当に感謝の気持ちがわいてきました。
他の競技から学ぶ機会があったことも五輪ならではのことです。柔道や野球を見学させていただき、世界レベルのトレーナーからお話をうかがって様々な情報を吸収することができました。

―今後の活動について教えてください。

五輪については任期が終了しましたので、これでひと区切りです。五輪で長期間ここ(鍼灸院)を空けていたので、まずは落ち着いて仕事をしたいですね。
講師の仕事では、この経験を伝えることも自分の責務ではないかと考えています。生涯に一度あるかどうかという自国開催の五輪。しかも初の正式種目に採用された空手で日本代表の一員となれたことは、財産と言える経験です。学生時代、成績が良くなかった私でも、このような大きな仕事に携われたということを次世代に伝えていきたいと思います。

Profile

 
飯田 拓野さん

いいだ鍼灸院/IIDA LAB 院長
トレーナー・はり師・きゅう師
アスレティックトレーナー学科 2009年卒業
鍼灸学科 2012年卒業

公益財団法人全日本空手道連盟医科学スタッフ、日本オリンピック委員会強化スタッフ(医科学スタッフ)を歴任。