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対面で市民に寄り添うという支援、その大切さをコロナで再認識した

看護分野
安立(あんりゅう) 麻希子
保健師
小牧市 保健センター 勤務
2019年卒業

―保健師として、どんな業務を担当しておられますか。

小牧市保健センター母子保健係という部署で、乳幼児健診やパパママ教室などの事業を担当しています。母子保健係といっても、担当地区では乳幼児から高齢者まで、すべての方を対象に保健活動を行っています。

パパママ教室というのは妊婦さんとお父さんに、育児の準備をしていただくための教室です。民間の産院さんで行われる沐浴などの技術論だけでなく、夫婦で一緒に育児をしていく気持ちづくりや、お父さんとお母さん自身の自己肯定感を育む取り組みをするといった、行政機関だからできる内容を意識しています。

小牧市では、自己肯定感を醸成するための取り組みに力を入れていて、その一環として市内の学校と恊働で、「性と生のカリキュラム」を開催しています。そこでは小学生、中学生たちに皆がかけがえのない存在であることを伝えています。この授業では私も学校へ出向き、お話をさせてもらっています。

―コロナでお仕事への影響はありましたか。

一時期、窓口以外のほとんどの事業がストップしてしまいました。パパママ教室も中止になり、再開後も人数制限を設けていますので、受けられなかったパパママのために動画を作成し、ネットで配信しました。動画は相手の反応がわからない難しさはありますが、原稿を起こしたりナレーションを吹き込んだりするのは大変だったと同時に、楽しい作業でした。

今はほとんどの事業が再開したので、日常の業務と並行して、中止していた分の事業も行い、多忙な日々です。

―コロナを通じて何か感じたことはありますか。

リモートも有効な手段ですが、実際に会って話すことの大切さを再認識しました。

お母さんとのかかわりで一番気を配っているのは、お話にしっかり耳を傾けて必要な支援につなげていくことと、お母さんの頑張りを認めてあげることです。自分の子育てがこれでいいのかと、悩んでいるお母さんは少なくありません。そんなときは「それでいいんですよ」と寄り添う姿勢が大切。涙を流して話をするお母さんもおられましたが、人間は話を聞いてもらうだけで安心することが多々あります。これからもお母さんとお子さんの表情を見ながら、支援を心掛けていきます。

―ひとり親として育児と仕事を両立させてこられました。

一般的には大変というイメージがあるでしょうし、実際ラクではないのですが、私はこのライフスタイルが気に入っています。

保健師学科に入学したときはすでにひとり親でした。子供のことも生活のこともあるので、100%自分優先ではないにせよ、やりたいことをあきらめる選択肢はありませんでした。市の都市ビジョンに、「1.こども・夢チャレンジNo.1都市 2.健康・支え合い循環都市 3.魅力・活力創造都市」があります。子供がいても、ひとり親でも、家族の応援と自分の気持ち次第で、やりたい仕事はできるし、そのための学び直しはいつでもできるのです。

―今後の目標を教えてください。

保健師を目指したきっかけは、看護学校時代の実習で予防の大切さを痛感したからです。まだ入職したばかりではありますが、いずれは予防的な事業に携わりたいという希望は持っています。もちろん現在の仕事もとても楽しく、やりがいがあります。まずはこの仕事をしっかりやり遂げて、次のステップに進んでいきたいと思います。