これからも患者さんと医師をつなぐ役割を果たしていく
- 山本 花帆さん
- 助産師
- 聖隷浜松病院 勤務
- 2018年卒業
難しい状況で無事出産した赤ちゃんを見る喜び
産科病棟を経て、現在はMFICU(母体胎児集中治療室)に勤務しています。ここでは母体や胎児に疾患があるケースや、ハイリスクな妊娠・分娩・産褥(さんじょく)を管理します。患者さんの不安な気持ちを理解し、少しでも前向きに入院生活を送り、治療に向かえるようサポートするのが私の務めです。そんな状況でも無事に出産し、ご両親とご家族が嬉しそうに赤ちゃんを迎える姿を目にしたり、MFICUを退院したお母さんがお子さんを連れて面会に来てくれたりしたときは、この仕事をしてよかったと喜びを感じます。その一方で、産科病棟では扱わなかった死産の分娩介助を担当することも。そうしたとき、患者さんの悲しみに寄り添うグリーフケアも大切な仕事となります。
新しい命を支える「チーム医療」
新たに生まれようとしている命。それを支えるのが「チーム医療」です。長期入院となる切迫早産の患者さんに対しては、ベビー人形を抱っこする練習を試みるなど産科ならではのリハビリを理学療法士と考えたり、産後の骨盤ケアや肩こり対策についても理学療法士が指導に介入してくれたりします。医療機器の故障や設定に困れば、定期的に機器の点検をする臨床工学技士が解決。ほかにも、ソーシャルワーカーや臨床心理士など、多種多様な職種が1人の患者さんに関わることで、最善のケアを提供しています。
母校で関連職種のアセスメントを取り入れる重要性を知った
「チーム医療」のあり方を学んだのは学生時代。母校の助産師学科は1年制という短期間のなかでも、多職種で集まり、ともに1つの症例を検討していく「チーム医療」教育が導入されていました。仮説の症例ではありましたが、患者さん本人とご家族を含めたケアについて、関連職種を目指す学生と一緒に様々な方面から検討し、まとめた内容をプレゼンテーションする取り組みでした。チームで協力して患者さんとその家族をみていくことの重要性と、異なる専門知識を持った人たちの考えやアセスメントを取り入れることで、患者さんをより深く理解できることを知りました。
助産師も「チーム医療」の一員として動きます。将来助産師を目指す方は、関連職種の専門性およびそれぞれの職種がどんな視点で患者さんをみているのかを知っておくと、介入してもらうべき場面が自分でイメージできるはずです。
患者さんの様子を一番間近で見ているのは私たち病棟スタッフ。だからこそ、患者さんの訴えや状況を医師に対して適切に伝える役割が求められます。これからもチームの一員として、患者さんと医師をつなぐことのできる助産師でありたいと思っています。
※2021年度 名古屋医専 学校案内書 掲載記事