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チームでなければ、医療は機能しない時代

看護分野
山本 翔哉さん
看護師
愛仁会リハビリテーション病院 勤務
2019年卒業

学生時代の「チーム医療症例演習」で学んだこと

高校時代、進学先を選ぶにあたり「チーム医療」は1つのキーワードでした。就職後必ず必要になることであり、そのためにも多様な医療系学科を設置する学校で学びたいと思ったのが母校を選んだ理由です。

印象深かったのが「チーム医療症例演習」で、看護、理学療法、保健、柔道整復などの学科から集まった学生チームで1つの症例に取り組みました。演習用に提供された症例には、患者さんのゴールが設定されていて、そのためにすべきことを皆で話し合いました。他学科との議論を通じて、目標が同じでも職種ごとに視点が違うことを理解するとともに、関連職種の仕事内容や強みを把握しておかなければ、本質的な連携はできないと痛感しました。

演習で他学科に友人ができたことも、その後の学校生活に活きました。骨折系の疾患について知りたいとき、理学療法学科の友人に教えてもらうなど、学科を超えた学び合いが生まれたのです。母校だからできたことです。

「しているADL」を「できるADL」に変えていく役割

私は今、障害者病棟の看護師を務めています。仕事の1つに患者さんがリハビリを受けられる状態をつくるためのケアがあります。看護師として患者さんの全身状態を観察し、訓練の状況を日常に取り入れ、その内容を医師や理学療法士、作業療法士、言語聴覚士と共有しています。

1日を通して患者さんをみられるのは看護師です。だからリハビリ職の方からの「トイレ内ではこの動きを介助してほしい」「病棟生活の中でもっと歩行を取り入れてほしい」といった相談を受け、日常生活の中でどのように、どの場面で行うかを考え実践します。たとえば自宅復帰を望まれる患者さんに対して、トイレまでの歩行を促したとします。でも患者さんは、面倒なので尿瓶(しびん)で済ませたい。こんなときは、歩行がリハビリの一環であることを懇切丁寧に伝え「一緒に行きますから」と励ましながら関わっていきます。患者さんが中心となり納得してもらうことが大切なのです。そしてトイレまでの歩行を行った病棟での様子をリハビリ職と共有し、その情報を訓練に反映していくという連携がなされています。
※ADL・・・日常生活動作

「チーム医療」とは各職種が同じ方向へ進むこと

看護師とリハビリ職とのコミュニケーションは毎日のことです。病棟でのようすは看護師しかわかりませんが、リハビリ中のようすはリハビリ職でしかわかりません。それぞれの現場で患者さんが何を話していたかなど、常に患者さんの目標、現状を共有することで、異なる職種が同じ方向へ進むことができます。今「チーム医療」がなければ、医療は機能しない時代になっているといえるでしょう。

※2021年度 大阪医専 学校案内書 掲載記事