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人工透析もチーム体制があるから円滑に進む

救急・臨床工学分野
大野 瑞季さん
臨床工学技士
社会医療法人愛仁会 千船病院附属 千船腎臓・透析クリニック 勤務
2018年卒業

患者さんひとり一人の背景を把握する仕事

入職以来、人工透析を担当しています。人工透析とは慢性腎不全によって腎臓が機能しない患者さんの血液を浄化し、体内の老廃物や不要な水分を排出する治療法で、我々臨床工学技士は穿刺(せんし)や人工透析装置の操作を担っています。

透析はシンプルな業務にみえますが、実際に携わってみると非常に深い仕事です。患者さんとじかに接するなか、ひとり一人に合った針の刺し方を覚えるほか、腎不全の原因が糖尿病なのか、その他の疾患なのかといった病気の背景も把握しなければなりません。透析は1回あたり長い時間を要するとともに週に3回の来院が必要であり、患者さんとのコミュニケーションは密になります。私にとっては、それが仕事のやりがいになっています。

看護師との意思疎通は常日頃行っている

透析は穿刺(せんし)と機器の操作をすればできるのですが、技士だけで行えるものではありません。医師、看護師、ときには管理栄養士とのチーム体制がないと円滑に進みません。とくに身近にいる看護師との意思疎通は重要です。患者さんは疾患を抱える方々ですので、急な血圧降下などの事態が生じることも想定でき、そうしたケースで看護師に措置を求めるのは私の役目です。日々の朝礼でも看護師と「こんなことがありましたので注意しましょう」など、患者さんの情報共有は常に図っています。

腎不全の患者さんはリンやカリウム多く含む食品の摂取を控えるなど、食事制限を受けています。透析中に患者さんから「こんなものを食べてみたいのですが、どう思いますか」といった質問をされることがあります。患者さんにとっては技士も看護師も同じ医療人なのです。そのようなとき、私は技士なのでわからないという対応ではなく、看護師や管理栄養士から学んだ知識でお答えするようにしています。他方で看護師も機器のことで質問があれば技士に確認します。こうした職種間の知識交換も、広い意味での「チーム医療」ではないでしょうか。

直接関わらないリハビリ職の知識も必要

患者さんのなかにはリハビリも並行して受けている方がおられます。透析中のコミュニケーションでリハビリの話題になったとき、理学療法士や作業療法士がどんな職種なのか、ある程度知っておかないと話ができません。今は直接リハビリ職と関わる機会はありませんが、リハビリ職の中身を知っておくことで患者さんから引き出せる情報も増え、私に対する信頼も高まります。このことは、医療人はどの職場で働いていても関連職種について知っておくべきだという1つの事例です。将来医療人を目指す人は、学生時代のうちに関連職種についても学ぶ意識を持っていただくとよいのではないでしょうか。

※2021年度 大阪医専 学校案内書 掲載記事