理学療法と鍼灸の両方を学んだから、今の仕事ができている。
- 中澤 俊さん
- 理学療法士・はり師・きゅう師
- パーソナルリハビリステーション悠 管理者/株式会社マエカワケアサービス理学療法部門 部長
- 理学療法学科2014年度卒/鍼灸学科(夜間部)2015年度卒
2つの資格を活かして「自費リハビリ」に取り組む
――学校では2つの国家資格を取得されました。
入学時はスポーツ分野の仕事を見据えていて、そのために両方の資格取得を目指しました。考えが変わったのは病院実習のとき。実際に患者さんが回復していく現場に立ち会ったことで、スポーツ選手のような健常者よりも、この人たちのために勉強していきたいと思うようになりました。
――「自費リハビリ」は保険を使わない自己負担の診療ですね。
そうです。卒業後病院勤務をしていたとき、退院までの日数制限など、医療保険制度の枠組みのもとでは限界があると感じていました。そこで入職4年目から個人事業主となり、自費リハビリに取り組んできました。施設の所有者は(株)マエカワケアサービスで、同社からの業務委託という形で運営しています。
開業前に社長と面会した際、業務計画と収益予測を提出し「病院ではできないリハビリをしたい」とお話ししたところ「やってみよう」と言っていただきました。当時27歳。成功すれば糧を得られるし、失敗しても引き返せる年齢だと考え、チャレンジを決断しました。
幸いにも社長は私と同じ理学療法士およびはり師・きゅう師であり、経営者としても治療家としても相談できる先輩です。また、先生方ともつながりが続いていて、今も理学療法や鍼灸に関する相談に乗っていただいています。
――どのようなリハビリに取り組まれていますか。
自費なので何でもできることを大切にしています。保険制度下でのリハビリは、ADL(※1)だけに注目される傾向があります。しかし、生活さえできればいいのでしょうか。趣味を楽しんだり、旅行に出かけたり、QOL(※2)の向上を目標にしたリハビリに理学療法士の介入が少なすぎるという問題意識を持っていました。自費ならば、年齢や疾患に関係なく、やりたいことができます。
「ゴルフができるようになりたい」という利用者さんには、それに向けたリハビリを施し、練習場やラウンドにもご一緒して不安を取り除きます。重い病気をして生活を楽しむ思考になれない方も少なくありませんが、リハビリを進める中で目標を設定して力を引き出していくかかわり方を大切にしています。
(※1)ADL:移動・排泄・食事などの日常動作(※2)QOL:人生や生活の質
――西洋医療と東洋医療のつながりで、出せる特色は?
理学療法士の目線でリハビリのプランを立てながら、内部疾患など理学療法士がアプローチしにくい部分に関しては鍼灸を活用するといった、幅広い対応が可能になっています。2つの資格がなければ、今の仕事はしていないでしょう。
自費リハビリに来られる方は、他の施設で改善せず、ワラにもすがる思いをお持ちです。そういう方々に対して、これからも自費に見合ったサービスを提供し続けていくことが私の役割だと思っています。
※卒業生会報誌「i(アイ)」21号(2019年11月発刊)掲載記事