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誰よりまず、患者さんの未来を信じる。

リハビリ分野

主体会病院
理学療法士 内田 雅之(2012年卒)

主体会病院で、理学療法士として患者さんに寄り添う卒業生の内田雅之さん。現場での想いや仕事のやりがいについて伺いました。

—理学療法士になろうと思ったきっかけは?
じん帯を切ったとき、自分を立ち直らせてくれた人に出会った。

私が高校生の時、じん帯を切断するという大きな怪我を経験しています。ハンドボール部の主将になった矢先の出来事だったので、精神的にも身体的にも辛い思いをしました。そんなときに出会ったのが理学療法士。手術後のリハビリテーションを担当してくださったのですが、優しく、そして、力強く励ましていただき、同じように患者さんに勇気を与えられる人になりたいと思ったんです。元々、中学時代はスポーツトレーナーを志望していて、オリンピック選手などアスリートのケアをしたいと考えていたのですが、それよりも一般の方々に「その人らしい笑顔」を取り戻してもらう方が自分には向いているかもしれないと考え、理学療法士を目指しました。

—理学療法士が大切にすべきことは?
明日のことや将来のことに対して患者さんが思いをはせる、そんな前向きな「心」を取り戻すことが大切です。

理学療法士は病気やケガなどにより低下したり失われたりした運動機能を回復させることが仕事です。しかし、リハビリテーションは患者さんにとって苦しい作業ですし、私の思いを患者さんに押し付けだけのリハビリテーションでは回復の成果を上げることは困難です。理学療法士にとって大切なことは、患者さん自身の心に寄り添い、誰よりも患者さんが「その人らしく生きる未来」を信じることです。私が所属する病院には、脳卒中や大腿骨損傷などから日常生活に大きな支障のある患者さんが多く訪れます。患者さんの中には未来に悲観的で、気持ちが折れて回復を諦めてしまっている方もいます。だからこそ、まず心の面から前向きになってもらうこと、患者さん自身が「歩きたい!」「治したい!」とやる気になってもらうことが大事です。そのためには、理学療法士である自分たちが絶対的にポジティブにならないといけません。そして、その明るさで患者さんを励まし支え続けます。すると、過去の話ばかりしていた患者さんが、明日のことや将来のことなどを話し始める瞬間がきます。その変化が見られればもう大丈夫、リハビリテーションの成果もどんどん顕著に出てきます。

—学生時代にしっかりと学ぶべきポイントとは?
医療現場では、多職種連携(=チーム医療)が欠かせません。

患者さんが病院などで理学療法士と接する時間は、どんなに長くても1日に2時間程度。その他の時間は医師や看護師と過ごします。我々医療スタッフは、1人ひとりの患者さんに最適な医療を提供するために連携を取りつつ、プロフェッショナルとしてそれぞれの担当領域での成果を最大化させることが大切だと思います。その意味では、名古屋医専で学んだ「チーム医療」は臨床現場で活かされています。学生や未来の学生の皆さんには、ぜひ多職種との連携を意識しながら学習に取り組んでほしいと思います。そして、自分ができることを少しずつでも確実に増やしていく努力。独りよがりにならず、チームの一員として積極的に医療に臨む気持ちを育てていくことなどが大事なポイントになるのではないでしょうか。