日本一の奪還に向けて、選手の練習を支える日々。母校の講師業も楽しんでいる。
齋藤 秀さん
コベルコ神戸スティーラーズ所属
S&Cコーチ
アスレティックトレーナー学科 2016年卒業
プロスポーツチームの強化に励むS&Cコーチ
――チーム内での役割を教えてください。
コベルコ神戸スティーラーズのS&C(ストレングス&コンディショニング)コーチとして、選手のトレーニングを円滑に進めるとともに、トレーニング効果を最大化するための様々なサポートを行っています。その際、選手が装着しているGPSトラッカーから得た各種データを活用します。選手個々の走行距離、加速、減速、スピード、ジャンプなど、多様なデータを分析することで過剰な練習による故障を防止すると同時に、最も適切な負荷をモニタリングして、練習に活かせるようにコントロールします。ラグビーはスピードやパワーといった身体能力の向上が勝利に直結します。その点でS&Cの重要性が高い競技だといえます。
――学生時代で印象に残っていることは何ですか。
勉強が得意ではない自分が、難関といわれる日本体育協会公認アスレティックトレーナー資格を取得できました。少人数環境のもと先生方がパーソナルに手厚く指導してくださったおかげです。「現場では、相手から言われる前に、相手の欲しがるものを察知して動くことが大事」という先生の言菓も印象に残っています。私はチーム内で仕事の壁を設けず、練習がスムーズに運ぶように、自分の職域外のことでも積極的に引き受けるように努めています。この職業意識の原点は、学生時代の学びにあると思っています。
――母校の非常勤講師も務めておられます。
週1回、「トレーニング実技」と「コンディショニング」を担当しています。講義で学んだ内容を踏まえて、自分なりに工夫する学生の姿を見るのは喜ばしいことです。それはコーチの仕事で、できなかったパフォーマンスができるようになった選手を目にするのと同じこと。人の成長がやりがいになるという点で、2つの仕事は共通しています。
――今後の目標やキャリアプランをお聞かせください。
チームの目標は、日本一を奪還すること。個人の目標としては、仕事を始めた当初から日本一を狙えるチームで働きたいと思っていたのですが、これはコベルコ神戸スティーラーズの一員になったことで実現できました。今後のキャリアプランはS&Cコーチとしてより高いポジションで業績を残し、ゆくゆくは教員として母校に帰ることです。具体的なステップとして考えているのは、日本一を狙えるチームでヘッドS&Cコーチを務めることに加え、かねてより興味を持っている日本代表での活動も目指していきます。多くの実りを母校へ持ち帰れるよう、日々を大切に鍛錬を積みます。
Profile
コベルコ神戸スティーラーズ所属
S&Cコーチ
アスレティックトレーナー学科 2016年卒業
アスレティックトレーナー学科卒業後、立命館大学ラグビ一部、豊田自動織機シャトルズ愛知、JR西日本レイラーズのS&Cコーチを経て現職。高校時代には全国高等学校ラグビーフットボール大会に出場した。